2015-01-01から1年間の記事一覧

ソフトバンク副社長が600億円で自社株買い

SBのニケシュ・アローラ副社長が自己資金を投じて600億円相当のソフトバンク株式を買う(8/20日経)。これで少し前に世間をビックリさせた165億円の巨額報酬のからくりが分かる。 税引き後の手取りを120億円とすると、これを元手に600億円の自社株買いを行う…

オリンパス、シャープ、東芝に共通する統治の病

これらの会社の統治不全の病根は共通するところがある。そろそろ共通する病理を抽出し、一般化する時が来ているのではないだろうか。 1. 中興の祖とされる実力社長が、退任後も何代にも渡り影響力を行使している。 2. 新たに選任された社長が全力を発揮でき…

〈英語版〉安倍首相の戦後70年談話の主語を探る

8/14に安倍首相は戦後70年の首相談話を発表した。その評価は様々であるが、東大名誉教授・御厨貴氏は「“おわび”主語、不明確」と指摘している(8/15日経)。日本語の特徴として主語があいまいになりがちであるが、同時に公表された英語版を見ると、そのあい…

戦後70年の首相談話に関する有識者懇談会「21世紀構想懇談会」が安倍晋三首相に提出した報告書

8/7日経「戦後70年談話 有識者懇報告書の要旨」を読んで。 報告書は安倍史観の整理、正当化である。16人の識者、6回の会合にどれだけの国費が費やされたのか。個人的史観に費やされるなら納税者の理解は得られるか。報告書の史観は大別すると、戦前の部と戦…

安倍首相の混乱:東シナ海の中国ガス田開発を安保法制の理由にする

外務省は7月22日、ガス田開発に使う海洋プラットフォームを中国が東シナ海に新設しているとして、証拠の航空写真を公開した(下記、The Huffington Postの記事)。プラットフォーム建設をめぐっては、中谷元(げん)防衛相が10日の衆院平和安全法制特別委…

東芝の名誉回復は今からでも遅くない。委員会設置会社の機能を働かせれば問題は解決できる。

東芝は委員会設置会社に移行していた。事象だけを追うと何がおかしかったのか迷路に入りそうになるけれど、委員会設置会社として何をすべきであったか、特に監査委員会、指名委員会、報酬委員会の働きを検討することによって見えてくるものがある。 7/28日経…

この暑さでオリンピックは開催出来るのかな

日程は7/24開会式、8/9閉会式だそうだ。猛暑の中での開催。今日のニュースでも、410人が熱中症で病院に運ばれた。炎天下、毎日数千人の規模で倒れる人が出てくるのではないだろうか。私は自宅でエアコン付きでテレビ観戦します。この暑さを考慮すると、辞退…

日経のFT買収、経済合理性に疑問も

これで日経の記事の質が高まったり、購読料が安くなるなら大歓迎だ。逆に買収価格が高すぎて、購読料値上げなんてなったら読者離れに拍車をかけることになる。ロイターの下記の記事は、買収価格に疑問を投げかける。 7/24日経は、買収価格は£844M。下記ロイ…

東芝 昔のCEOの影響力

東芝の不正会計問題は、企業統治が形骸化していたという見方に収斂しつつある(下記、読売新聞社説)。これに対し、WSJは、日本企業のボードには、既に10年以上前に退任した東芝の西室元会長を例にして幽霊が徘徊していると皮肉る(下記、WSJ記事)。日本の…

安倍首相 対米従属路線を歩む

07年9月12日、安倍首相は突然首相職を投げ出した。その理由として、手嶋龍一オフィシャルサイトに引用する対談(下記参照)では日米関係の行き詰まりにあるとしている。対等の独立国を目指すとされる安倍首相がやゆされながらも、対米従属路線に突き進んで行…

安倍首相 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり

振り返れば4月末の米議会での歴史的演説が安倍首相の絶頂期であったのではないだろうか。それ以降何から何まで安倍氏には逆風で、最近の世論調査は殆ど不支持が上回るようになった。特に大きかったのは憲法学者の違憲発言と舛添要一都知事の下村博文文科大臣…

東芝の不正会計 指名委員会は動かないのか

東芝は現社長、前社長が自発的に退任するようだ。これでは不適切な判断・指示に個人が責を負うということで、企業統治を働かせた結果ではない。形式的かもしれないが、辞任届けは指名委員会の預かりとして、指名委員会が全取締役の解任、留任を決定する形が…

東芝の企業統治は日本企業全体のお手本である

取締役会VS社長、前社長・元社長の関与、バークレイズのCEO交代、東芝が揺らいでいる。不正会計だけでは、会計上の数値だけで企業実態は変わらないのだが、2,000億円規模の資産売却、5,000-6,000億円の資金枠要請などが報道されると、キャッシュ・フローが急…

ギリシャの国民投票 クルーグマン教授はNoを推奨する

7/3NYTのコラム“Europe’s Many Economic Disasters”では、トロイカの緊縮策に対して強くNoを推奨する。教授がギリシャ国民に影響力を持つているようなのは驚きだ。事実、世論調査では賛否拮抗している。緊縮策を導入後、GDPは30%減り、失業率は25%に高止まる…

ソニーの増資 日本の製造業としては過去最大

ソニーは6/30に公募増資で3,200億円、転換社債で1,200億円の資金調達を行うことを発表した。6/23の定時株主総会からわずか1週間。株主総会では増資をほのめかすものはなかった。増資資金はセンサー事業の投資、研究開発に充当し、併せて借入金返済にも使う。…

企業統治の形態と会計基準の乱立

改正会社法により、上場会社は企業統治のあり方として、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社を選べるようになった。3種類の企業統治の形態に加え、会計報告の基準には4種類(日本基準、米国基準、国際会計基準、修正国際基準)が…

東芝株主総会、不適切会計の発端説明 監視委が検査

東芝の不適切会計は2月12日に証券監視委から報告命令があったが、「当初は、当局から開示検査を受けていることの公表を控えるよう要請を受けていた」ために、公表は4月3日にずれ込んだ。実に2ヶ月近く投資家は事情を知らされずに東芝株の売買を行っていたの…

東洋ゴムの偽装問題 社内取締役5名全員が辞任

偽装問題の引責で、社内取締役5名全員が辞任することになった。会長、社長、専務(以上、代表取締役)、常務2名の5名である。取締役7名中、2名の社外取締役を除く社内取締役全員である。問題となっている免震ゴム事業の売上高は7億円、東洋ゴム全体の売上…

安保法制案 内閣の法案提出権はどこまで認められるか

安保法案が、法案が分かりにくいということに加えて、衆院憲法審査会の参考人全員から憲法違反と指摘され、更に混迷している。 この混乱に乗じて私も一石を投じたい。安倍内閣が安保法案を提出したこと自体が憲法の趣旨を逸脱しているのではないか、と。実際…

日独 戦後処理の違いは

6/14日経「日独 戦後処理の違いは」は、どうしてこの時期に載せられたのか。メルケル首相の来日、ドイツでのサミットに間に合わせようとしてタイミングが会わなかったのか。それとも、日韓国交回復50周年を迎えるに当たって、韓国側からの「ドイツは日本とは…

日産による株式買戻しは空想的か

トヨタの種類株発行が関心を集めている。6/13日経にも、大機小機「種類株と経営者の覚悟」記恩、「株主総会2015」「トヨタの新型株、何が焦点?」「経営チェック、疑問の声も」など、他にも「ビジネスToday」「宝飾品のTASAKI」「ファンドから株買戻し」「ま…

安保法制は長年の宿願への第一歩

安保法制は、首相が記者会見で述べたように「国民の命と平和な暮らしを守り抜く」のが建前である。首相の説明でわかりにくいのは、自ら評価している戦後70年の平和は安保がもたらしたことに余り言及しないことだ。「国民の命と平和な暮らしを守り抜く」とい…

5/20の党首討論 安倍首相はポツダム宣言を詳しく読んでないことを認める

志位共産党委員長との討論で明るみに。これでは、戦後レジームからの脱却とか先の大戦への反省とは、一体何なんだ。 5/20 産経 安倍首相「村山談話、小泉談話を全体として受け継いでいく」 志位委員長「間違った戦争との認識あるか?」 http://www.sankei.co…

経産省の時代錯誤:「最低でも液晶技術の海外流出を食い止めたい」

国家主義者には共感されるかもしれないが、「最低でも液晶技術の海外流出を食い止めたい」(下記日経記事から引用)は時代錯誤の意識そのものである。株主や債権者にとって関心のあるのは、シャープの技術が適正に評価されそれが株価や企業価値に反映されて…

大阪都構想の結論は拙速より巧遅がベター

大阪都構想は僅差で否決された。 私は大阪とは無縁の人間だが、大阪都構想には拙速な面が否定できない。 議論がまだ生煮えで拙速に決めてしまうよりは否決されて冷静に考え直すのは良かった。1. 二重行政の是正か実利か 二重行政の是正は建前としてのスロー…

ソニーのテレビ事業に残存者利益 

シャープがテレビ事業から手を引けば、国内で本格的にテレビ事業を展開するのはソニーだけになる。ソニーがこのチャンスを活かせば、少なくとも国内のテレビ市場ではある程度の存在感を示すことが出来る。 もしこの好機を活かし切れなければ、ソニーのテレビ…

安保法制 安倍首相の拙い説明

5/16日経「自民・谷垣幹事長に聞く」 (国民の間で)まだ理解が進んでいないから丁寧に議論せよという声はわが党の中でも強い。 谷垣幹事長の心配はご尤もだが、幹事長の立場上、理解が進んでいるから反対が多いとは言えないのだろう。仮に理解が進んでない…

シャープ 市場は復活を予想している 

単体の決算では債務超過となっているのに株価が190円ほどになっているのは、市場は将来的にプラスのキャッシュ・フローがあるとみなしているのだろう。 将来的にプラスのキャッシュ・フローがあるのなら、事業を解体してシャープを消滅させるのは下策である…

シャープ救済は官邸の意向

シャープの救済は官邸の意向であるという指摘がある。そうであれば、企業統治指針を云々してもしょうがない。企業統治指針をオーバーライドする政府による企業統治があるのだから。官邸は、シャープの破綻をアベノミクスの失敗と受け止められることを恐れる…

シャープの減資、資本金1億円へ 攻めの企業統治指針は機能しない

シャープは15年3月期に2,000億円以上の赤字を計上する見込みで、これに対して次の対策を検討している。 1. 資本金を1億円へ減資する 2. 三菱とみずほの借入金2,000億円をDESによって、資本化する。先週末の報道であったため、株価への反映は本日の寄り付きと…