安倍首相 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり

振り返れば4月末の米議会での歴史的演説が安倍首相の絶頂期であったのではないだろうか。

それ以降何から何まで安倍氏には逆風で、最近の世論調査は殆ど不支持が上回るようになった。特に大きかったのは憲法学者違憲発言と舛添要一都知事下村博文文科大臣に対し500億円は払えないという反論だった。

安倍首相は、17日午後「コストが当初予定より大幅に膨らみ、国民やアスリートからも大きな批判があった」と、新国立競技場の建設計画を白紙に戻すことを語った。

第1次を含め、安倍氏が国民の声に押されたのはこれが始めてであろう。これまでは「攻め」を専らにしてきたのだが、守勢にはどれだけ耐え得るのだろうか。第1次の経緯を知る者には不安になる。

このまま行き詰った場合、究極の選択として、首相の地位を守るため安保法案を見送るのか、辞任と引き換えに安保法案を通すのか、政治家としての器量と胆力が試される。けだし見ものである。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂には滅びぬ、偏(ひとへ)に風の前の塵に同じ。