東洋ゴムの偽装問題 社内取締役5名全員が辞任

偽装問題の引責で、社内取締役5名全員が辞任することになった。会長、社長、専務(以上、代表取締役)、常務2名の5名である。取締役7名中、2名の社外取締役を除く社内取締役全員である。問題となっている免震ゴム事業の売上高は7億円、東洋ゴム全体の売上高は4千億円である。

6/24日経は「今回、首脳陣の経営責任を迫り辞任させたことで同社のガバナンスはある程度機能したといえる」と評しているが、そうだろうか。

一見して、なぜ非中核事業の責任を負って社内取締役全員が辞任しなければならないのかである。せいぜい担当取締役の辞任で済む話である。それとも、明らかにできない大きな問題が隠されているのであろうか。取締役会は、辞任に至る経緯を判りやすく外部に説明すべきである。また、社内取締役に厳格な処分を下したことに比べ、利用者への情報開示が全くなされていないことである。利用者の安全・生命を重んじるなら、偽装免震ゴムを用いた建物名(74件)を公表し、その対策を取締役の辞任に先立って発表すべきだったであろう。確か10年ほど前の耐震偽築事件(57件)では、直ちに建物名が公表され、立替などがすみやかに行われた。

本件は、取締役の処分の厳しさと利用者を無視するような対応が際だっている。企業統治の枠組みを超えた問題があるように思われる。