2015-01-01から1年間の記事一覧

軽減税率:谷垣幹事長の反乱はあるか

軽減税率を巡り、党の意向を代表して谷垣幹事長は生鮮食品のみの4千億円を主張していた。ところが官邸が来年の選挙を慮り公明党にすり寄り、加工食品を含め1兆円の減収で手を打った。谷垣幹事長は民主党との三党合意の主役で、合意の趣旨からはのめる話では…

法人減税、there''s no such thing as a free lunch

法人税実効税率は16年度から32.11%から29.97%に引き下げられる。 必要な財源(1兆円)は外形標準課税を強化すること(8千億円)、減価償却から定率法の適用を見直すこと(千数百億円?)、繰越欠損金の控除を縮小すること(数百億円)などで確保する。日本…

祈祷師のいる日本

現代日本にも祈祷師がいるという報道に驚かされた。人の心の弱みにつけこむこの手のペテン師は、社会が発展しても無くなる事はないだろう。医療の祈祷師がインチキであることは素人でもすぐにわかるけれど、これが難しい金融や経済の話になると、真面目な議…

GPIF(7-9月期)7.8兆円の損失

過去5年間の利益で十分に吸収できる金額であると思えるものの、気がかりな点は日経などメディアはこの損失発生の理由をフォローしてない点である。年金財政に一家言有ると自負する日経が沈黙しているのは解せない。 運用に問題はなかったのか、ポートフォリ…

村上ファンドの亡霊におびえる

村上ファンド元代表に「相場操縦」の疑いで強制捜査が入った。容疑内容が空売りをしたことであるが、なぜそれが「相場操縦」になるのかは明らかになっていない。単に空売りをして株価を下げたことなら中国の相場規制と変わることはないので、過剰な介入であ…

三菱MRJは成功するか。日本産業の劣化を懸念する。

MRJが開発を4年間延長してようやく試験飛行にたどり着いた。 MRJが成功するかは、三菱と協力会社の技術力に依存するが、最近のわが国産業界の劣化が目立ち、先行きに楽観的にはなれない。東芝の不正会計問題、東洋ゴムの偽装免震ゴム問題、杭打ちの偽装デー…

安倍首相の出生率問題の認識

11/8日経「出生率1.8で1億人維持は困難」のコラム記事。 10/29の1億総活躍国民会議の初会合で、首相は「少子高齢化という構造的問題に今こそ、真正面から取り組むべきだと判断した」と力説した。首相の力説した「構造的問題」とは、日経の記事によれば、…

日経の少しだけ進歩した東芝問題の報道

11/8日経は「不適切会計の経営責任を調べる外部委員会は、期待される注意義務を5人が果たさなかったと判断した」と従来のベースで報道しているが、判断したのは監査委員会と取締役会である。外部委員会は彼らへ助言する役割でしかない。従来と異なるのは、…

南シナ海で安保法制の適用が始まるのか

米軍から給油の要請があった場合、米中衝突になったとき武器・弾薬の供給を要請される場合、米軍が苦戦しているとき「はなれに火事が回ってくるので」支援に駆けつける場合など、現実の問題として安保法制が発動されそうである。安保法制の施行は来年3月まで…

自動運転の社会 トヨタがグーグルの下請けになる日

車の自動運転化が進むとどのような社会になるのか。雇用やGDPにはどのような変化が出てくるのか。 10/21日経「ホンダ、20年に自動運転」「国内大手3社、世界で先行目指す」 トヨタとホンダは20年に高速道路での車線変更などが可能な車を投入する。日産は、16…

軽減税率を主張する前に消費者の納めた税は国庫に届いているのか

(税率が10%になって)私が商店で100円の商品を買うと、それとは別に10円を消費税として商店に預ける。それが、間違いなく国庫に入ればよいのだが、商店に抜き取られて8円とか9円に目減りしていたら返してくれと叫ぶだろう。軽減税率問題が喧しい。それを導…

10/18 RIP 古田武彦、14日死去、89才、1926年(大正15年)8月8日生

10/16日経 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16H2F_W5A011C1CC0000/ 中国の歴史書「魏志倭人伝」に記された国名は邪馬台国ではなく、「邪馬壹(いち)国」と主張したほか、九州に王朝があったとする「九州王朝説」など独自の古代史論を唱えた。著書に…

TPP対策は消費者を愚ろうしている

10/7日経「コメ価格維持に重点」 (TPP対策で)米では米国とオーストラリアからの新規輸入分と同量の国産米を政府が買い上げて備蓄米にするのが柱となる。 13年度は183千トン買い上げ、449億円を投じた。仮に78千トンを追加すると、国費負担は年700-800億円…

10/5日経経済教室「人工知能(AI)が変える未来」東京大学准教授・松尾豊

長期的視野の投稿で興味深い。日本の課題に対する明確な回答である。実体経済と結びついたイノベーション論である。実現性のある議論であれば、大変なインパクトがある。その先の社会をどう構想するかは別に考察する必要がある。「ものづくりで日本に勝機」…

今日は投資の日。投資家不在になりつつある日本の株式市場。

9月4週までの年間累計投資額。単位:兆円。 個人 :-2.9(売り越し) 外人 :-1.2 信託会社:+1.1(買い越し、主に年金基金) 事業法人:+1.8(自社株買い) 証券会社:+1.7(裁定取引による持ち高が多いと思われる)代表的な投資家、個人と外人が株式市場か…

企業風土とか企業文化という言葉は現状を温存する役立たずのおまじない

企業風土とか企業文化はその一言で分かった気にさせる、マジカルワードだ。でも、具体的にどうするのと問われると、何も答えられらない現状を温存しようとする薬どころか毒になりかねない怪しげな言葉である。次の記事は、東芝とVWの問題の要因には企業風土…

規律正しく、合理的に考え行動するドイツ人でも強欲には勝てない。

ギリシャ、難民、VW の問題の当事者にはドイツが中心的当事者になっている。その根っこにはドイツ人の強欲。彼らも人の子、日本人やアメリカ人とは変わりはない。このことは、規制緩和や補助金行政に反省を促す。ズルをする人たちをのさばらせたり、補助金を…

VWのCEOは自分で辞任する自由もない。

VWのCEOは、東芝のように自分で辞めたいときに辞める自由はない。辞めることにも監査役会(取締役会に相当)の許しを得なければならない。日本企業の経営者はこの不自由さを受け入れなければ、世界標準の企業統治に近づけない。(9/24読売)ウインターコーン…

 統制経済を目指しているような安倍政権

安倍首相は、スマホ通信料の値下げを検討すると表明した。企業に賃上げを要請するだけでなく、今度は消費者向けサービスの価格を引き下げろという。業界は形だけその意見に従った振りをするだろうけど、競争の中身は大して変わらないだろう。問題は寡占化し…

シャープの液晶買収提案、ホンハイ アップルに出資要請へ

シャープの液晶事業の行方がようやく表に出てきた。9/21日経は、シャープが分社化する液晶事業会社の株式の過半数を取得。パネルの大口顧客である米アップル社にも出資を求め、3社で事業会社を運営したい考えだ、と報じる。これはうまく行くと最強のトリオの…

Japan’s Economy, Crippled by Caution by Paul Krugman

9/11NYTのコラムで、クルーグマン教授は日本経済を論じる。 財務省や日経はどのように反応するか。無視するだろう。 17年4月の消費増税は、教授の見解では論外である。 教授は日本はデフレを脱却できていないと診断する。 So Japan needs to make a decisive…

9/8日経経済教室「ピーク時電力 どう削減」「消費者へ働きかけ鍵に」「情報提供や特典付与」「節電計画の自動化も有効」依田高典・京都大学教授

ポイント ・時間帯別変動料金が「需要応答」の鍵握る ・消費者に委ねていては新型料金普及せず ・公正な競争維持へ市場監視の仕組み必要 クリティカル・ピークと呼ばれる時間帯(盛夏の昼間)は約1%だが、そのための発電費用は年間の10-15%にも達する。電…

委員会設置会社は経営を弱体化させるのか。そうではないようだ。

委員会設置会社は、どこも経営がぱっとしない。良い例が東芝やソニーである。私は、かって委員会設置会社と低迷する経営には因果関係があると思っていたが、東芝の問題を観察すると、経営が低迷するので株主の要求を受け入れざるを得なくなって委員会設置会…

配送電料は高いのか。短期的には高い。配送電網は長期的にはお荷物に。

9/4日経「独占続く送配電網、使用料高すぎる」「新旧電力、自由化前に火花」 北海道電力の場合、家庭向け使用料は1キロワット時当たり8.89円。このまま認可されれば道内の家庭向け電気料金27円前後の3分の1を使用料が占めることになる計算だ。他の地域でも状…

もしかして歴史の分岐点を目撃したかもしれない。杞憂に過ぎないだろうが。

9/3中国は、「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」記念式典を開いた。目を引いたのは、韓国・朴大統領がロシア・プーチン大統領に次ぐ第2位の賓客に遇されていたことだ。東アジアでは、日本は1対2の劣勢に置かれた。それでも安倍政権はアメリカについてい…

電力自由化の狙い。小売から海外へのシフト。自然な流れ。

電力自由化は、大きな市場を持つ東電にとっては、他社から侵食されるだけでメリットはないと思っていたが、それは内需しか考えていない狭い見方であった。9/3日経「電力大手、海外で稼ぐ」は、電力大手やJパワーが積極的に海外進出を行っていることを報じて…

東芝、決算発表を再延期。室町社長は東芝が委員会設置会社であることを理解できていない。

東芝が決算発表を再延期することになった。このこと自体、不正会計が全社的に行われたのであるから、東芝ほどの規模の会社ではあり得る事象であって殊更騒ぎ立てることではない。9/1日経では、内部通報が機能したようなことを伝えるが、それは本質的なことで…

安倍首相の対中国抑止論は現実的か

最近になって安倍政権は、安保法制の必要性と緊急性を中国の海洋進出を理由に掲げるようになった。それを阻止するために、抑止力が必要であると。日米中の経済力から見ると、安倍首相の唱える中国に対する抑止力を高めるという構想は殆ど実現性がないどころ…

ソフトバンク:ニケシュ・アローラの役員報酬をキャピタルゲインに置き換える節税テクニック

アローラ氏から見ると本取引の損得はどうなるか。 600億円を投じると、約8百万株を所有することになる。(1)一株配当は40円であるから、毎年320百万円の配当収入がある。分離課税で、約20%で課税される。 (2)アローラ氏の経営が成功し、時価総額が2倍に…

東芝:これでは期待できない企業統治改革

8/19日経は「東芝、背水の新体制」「議長決まらず」「室町社長も暫定」と報じている。 これでは旧態依然であって、新しい企業統治体制の確立、取締役会の改革につながらない。「(取締役会)議長決まらず」とは異常な事態であるが、日経はその経緯を色々な意…