シャープ 市場は復活を予想している 

 
単体の決算では債務超過となっているのに株価が190円ほどになっているのは、市場は将来的にプラスのキャッシュ・フローがあるとみなしているのだろう。
将来的にプラスのキャッシュ・フローがあるのなら、事業を解体してシャープを消滅させるのは下策である。

将来のキャッシュ・フローを最大化するにはどうしたらよいか。
現在の銀行主導の再建策では、債権保全が最大の目標になるので、将来のキャッシュ・フローを最大化する目標とは相反することがある。事業を解体するのと大きな違いはない。

市場の評価に従いシャープの技術力にはまだ競争力が残されていると仮定して、シャープに足りないものは(1)設備投資と研究開発を行うための資金、(2)価格下落の激しい液晶事業の抜本的見直し(大量に、早く、安く生産する能力)、である。

(1)はスポンサー企業を見つけられるかがポイントである。誰も興味を示さなければ、再建は断念するしかない。つまりシャープの技術力は市場評価に反して優位性がないということである。
(2)はシャープだけでなく日本企業全体に欠けている能力である。日本企業の経営者は言う。「コモディティ化して儲からない」と。だが自分が苦しいときは相手も苦しい。コモディティ化を逆手にとって相手を突き離すチャンスとして捕らえるのが前向きである。この分野で先生になるのは台湾の企業であろう(例えば、ホンハイ)。

シャープに技術力が残されているとして、雇用、開発力、生産能力、株主利益、債権者利益を保全するには、シャープを導く金持ちの先生が必要なのである。この場合、犠牲になるのは今の経営者であるが、他の方策より全体の犠牲ははるかに小さい。

5/14付決算短信(単位10億円)

27年3月期 売上高 純損益 純資産 BPS(円)
連結 2,786.2 -222.3 44.5 17.84
単体 2,157.5 -203.0 -5.9 -3.53