2011-01-01から1年間の記事一覧

平成の偉業が絶えた年

平成の偉業が絶えた年であった。 イチローの200本安打記録が10年で途絶えた。 羽生善治の王座戦連覇記録が19年で途絶えた。 武豊のGⅠ連続制覇も23年で途絶えた。 そして、原子力の安全神話もあっけなく瓦解した。 今年は辛卯(しんぼう)の年であった。辛の…

12/27(火)「電力システム改革に関するタスクフォース」による論点整理

タスクフォースによる論点整理が発表された。予想されたように、現状の枠組みを維持しつつ漸進的な改革を行うものであった。12/28日経には「経産相、公的管理検討を」「出資受け入れ迫る」という記事がある。論点整理は「競争的で開かれた電力市場」を唱えな…

電力制度改革案のまやかし

日経12/26(月)「発送電一体見直し」「政府検討 電力市場の競争促す」 同じく経済面「東電支援と表裏一体」「電力制度改革 資本注入へ環境整備」 (記事要旨) 政府が年明けから本格検討に入る電力制度改革の論点整理の骨格が分かった。政府は東電への公的…

原子力損害賠償機構が東電へ1兆円規模の公的資金を資本注入

12/22(木)日経「原子力損害賠償機構が東電へ1兆円規模の公的資金を資本注入」上の資本注入の記事のほかに、「東電、企業向け値上げ」「産業界負担増5千億円」という記事が一面に掲載されている。公的資金を入れるのであるから国民負担を明らかにするため出…

Will China Break ?

中国は崩壊するか?物騒な表現だが、ポール・クルーグマンの12/18付NYTのコラムの表題である。Will China Break? そこでは中国の不動産バブルの崩壊が近いことを警告している。このコラムだけからは時折目にするもので注目するものはない。ところが、12/19日…

日経 ユーロ、成長への目配り、JR東海・葛西氏インタビュー

平成23年12月16日(金)今日の日経はこれまでの論調が変わる転換点のように思われる。1. 一面特集「ユーロ 遠い安定」 バーナンキ議長の発言を引用、「ユーロが崩壊を始めれば、米経済も打撃を受ける」と共和党上院議員に伝えたという。これまでの日経はEU首脳…

ユーロの安定化

最近の欧米の論調にはヒトラーやドイツの権力という言葉が目に付く。12/11ポール・クルーグマン(PK)“Depression and Democracy”では、ヨーロッパに起こりつつある政治的変質(民主主義から独裁主義への動き)を憂いている。PKは政治の最前線でも経済と同じ…

12/11日経社説「大局観がない野田税制大綱」

12/11日経社説「大局観がない野田税制大綱」評判の悪い自動車課税について、社説は次のように述べる。 「焦点の自動車課税では、自動車重量税の軽減を打ち出した。エコカー減税は対象を絞って延長し、11年度第4次補正予算案でエコカー補助金も手当てする。欧…

12/9 EUは基本的な点で、分離した

Europe's great divorce エコノミストより Dec 9th 2011, 8:03 by Charlemagne | BRUSSELS記者Charlemagne氏(仮名、仏語シャルルマーニュ大帝、独語カール大帝:742-814)12/9(金)5AMに、EU本部でユーロ安定化の協議が終結した。その合意とはどのようなも…

東電社長インタビュー「他社から電力購入増やす」「投資押さえ経営効率化」

12/8(木)日経 東電社長インタビュー「他社から電力購入増やす」「投資押さえ経営効率化」 (設備投資関連、要旨) 他社からの電力購入を拡大することで「設備投資を抑制したい」との方針を明らかにした。従来の発電から送配電までの「自前主義」を転換し、経営の効…

企業統治における「経営の透明性」とは何か

12/8 日経「社外取締役 義務化も」「法制審中間試案 大企業対象に」(一面および総合面)日経はよほど「経営の透明性」がお気に入りらしく記事の中で四度もこの言葉が登場する。改正案の内容は、企業法務ナビによれば次のとおりである。 http://www.corporate-legal.…

12/7 オリンパス 高山社長記者会見

12/8/11日経一面「オリンパス役員 総退陣へ」 報道の要旨は次のとおり。オリンパスは7日、損失隠し問題に関する第三者委員会の報告を受けて高山修一社長が記者会見し、現在の役員全員が退任する意向を表明した。来年2月中にも臨時株主総会を開き、経営体制を…

オリンパス ウッドフォード氏の取締役辞任 臨時株主総会開催へ

今日(12/1木)のニュースでウッドフォード氏が取締役を辞任することが報じられた。幸い、氏によるプレス・リリース(末尾に掲載)が発表されているのでそれを参照する。 リリースの後半のところで氏は次のように述べている。However, in the absence of a s…

オリンパス 社外取締役は有効か

オリンパスの問題をあなたはどのように思われただろうか。オリンパスの取締役になったつもりで次の問を考えてもらいたい。 問1 企業買収を通した過去の投資損失の穴埋めが明らかになった。1. 損失の穴埋めはようやく終わったのだからここで蒸し返すことはな…

Michael C. Woodfordが日本外国特派員協会で行った記者会見

オリンパス社 Michael C. Woodfordが11/25(金)日本外国特派員協会で行った記者会見の抜粋。 Live Blog: Ex-Olympus CEO Woodford Speaks Out(ウオールストリートジャーナル、WSJ)より。http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/11/25/live-blog-ex-olym…

オリンパスの企業統治 取締役会、監査役会の改革

オリンパスの企業統治ウッドフォード氏は、解任される前に森副社長に対して詰め寄った。 Mr.Mori, who do you work for? I work for Mr. Kikukawa, I am loyal to Mr. Kikukawa.森氏の心情はすべてとはいわないが、ほとんどの日本企業の社内取締役、社内監査…

11/21(月)日経経済教室「震災直後の超過需要への対応」

11/21(月)日経経済教室「震災直後の超過需要への対応」「値上げより数量調整 優先」 阿部修人氏、森口千晶氏本論文のポイントは次のとおりである。 • 震災直後も同一店舗の商品価格は上昇せず • 価格ではなく数量割り当ての形で需給調整 • ネット競売の個…

11/21(月)日経「景気指標」日本のエンゲル係数なぜ高い

11/21(月)日経「景気指標」日本のエンゲル係数なぜ高い 編集委員 太田恭彦氏日本のエンゲル係数がここ10年間は約23%にピタリと張り付いて動かない、と指摘している。他国および日本の過去の係数の推移を次のように示している。 国 エンゲル係数(%) 年 …

ブログタイトルの変更 五丈原へ

「furumuraの日記」から「五丈原」へタイトルを変更した。先のタイトルは人名に間違えられそうなので、よく知られている名称に変更した。五丈原はおなじみ諸葛孔明が散った地であるが、他方、相手方の司馬懿(字は仲達)が魏王朝の実力者として駆け上るきっか…

電力需給の調整に関する記事

電力需給の調整に関する記事が昨日、今日と立て続けに日経に掲載された。力不足であるが、いくらかはマシと評価する。11/16(水) 節電した企業に割引。需要を減らす。東北、九州、北海道、関西、四国の五電力会社。大口需要家に基本料金を割り引く。節電へ…

日経 大機小機「正しい円高対応」誠児

11/17/11(木)日経 大機小機「正しい円高対応」誠児 誠児氏から以下に要約した円高対応策の提言があった。同意できる部分もあるが、同意できない部分もある。 政府・日銀による大規模な市場介入にもかかわらず1ドル=70円台後半の円高が続いているため、企…

11/6(日) 日経社説「節電の励みになる料金制に」

あらら、自由主義経済の旗手と思われていた日経さんは実は統制経済主義者だった!社説は次のように主張している。「電気料金をめぐっては政府の有識者会議などで今後、原価に一定の利益を上乗せして算出する総括原価方式の見直しが本格化する。無駄なコスト…

民間の創意を生かせる電力行政への転換

11/5/11付け日経社説「政府の責任も重い原発賠償」社説は「東電が最適な事業計画や資本政策を作れるよう経営に関与する責任が、政府にもある」と主張している。政府が東電の経営に関与するのは「すでに東電は半公的管理といえる状態だ」というのが根拠のよう…

日経 経済教室11/4/11 次世代電力網の課題

日経 経済教室11/4/11 次世代電力網の課題 依田高典氏スマートグリッド(SG)の普及に関する最近の動向を論じるものである。ここではSGの普及は、需要家(一般家庭)の節電意識、省エネ意識、環境意識に依存するものとされ、供給側はその結果として恩恵をこ…

The Hole in Europe’s Bucket

ギリシア首相の国民投票発言で、ユーロの動きが定まらない。こんな動きを想定していたのが、ポール・クルーグマン(PK)の10/23/11付けNYTのコラム“The Hole in Europe’s Bucket” だ。その中で古くからの童謡 ”There’s a Hole in My Bucket” を引用して、ユ…

元ECB専務理事・オトマール・イッシング(Otmar Issing)氏

10/2/11日経「けいざい解説」土屋直也氏 「ユーロ離脱は現実的か」というコラムで、2001年のアルゼンチンのドル・ペッグ離脱の例を掲げて参考になる。このコラムではECB元専務理事オトマール・イッシング(Otmar Issing)氏の独・週刊誌スターンとのインタビュ…

The Economics “ Be afraid” 10/1/11

The Economics “ Be afraid” 10/1/11(?) Unless politicians act more boldly, the world economy will keep heading toward a black hole.この記事からユーロ圏として緊急に実施しなければならない対策、今後の経済の見通しを抜粋する。優先度の高い対策…

EUの混乱 優先順位は何処にあるか クルーグマンの診断

優先順位の誤りポール・クルーグマン(PKと略す)のNYT9/12/11(日)のコラム “An Impeccable Disaster”(申し分のない惨事)より。コラムでは、ECB総裁・トルシェの発言「ECBはインフレ阻止の番人として申し分のない仕事をしてきた」を引用し、PKはその通り…

9/5/11月 日経一面コラム「野田政権2 日本再生 今度こそ」

9/5/11月の一面コラム「野田政権2 日本再生 今度こそ」編集委員 実哲也氏最近日経のコラムがつまらなくなってきた。見方が教条主義的になって、柔軟に現実を直視せんとするクオリティ経済紙としての見識が落ちてきているからだ。本コラムは、「経済成長と財…

昨日(8/19/11金)の日経社説と大機小機について

共に考えさせられる内容である。日経社説「日本の財政悪化はもはや放置できない」について。 冒頭の2行で財政の問題は書き尽くされている。すなわち、「高齢化で社会保障費がかさみ、長引くデフレで税収は伸びない」のである。対策は(言葉の上では)簡単だ。…