オリンパス、シャープ、東芝に共通する統治の病

これらの会社の統治不全の病根は共通するところがある。そろそろ共通する病理を抽出し、一般化する時が来ているのではないだろうか。
1. 中興の祖とされる実力社長が、退任後も何代にも渡り影響力を行使している。
2. 新たに選任された社長が全力を発揮できる環境が整備されていない。
3. 規制当局から要請されている社外取締役の人数を満たしている。
4. 因果関係はわからないが、生え抜きの社長にこだわっている。

1. 8/19日経によれば、西室泰三相談役が中心になって(三菱ケミカルの小林氏に取締役会議長に就任することの)説得に動いた。このように過去の人が未だに力を振るう限りは、新しい経営者は存分に力を振るうことはできない。

2. 新しく選任された経営者は、前任者の負の遺産を一掃することを第一年目のミッションにすべきであろう(オリンパスの例)。そのためにも、前社長以前の過去の人は経営から一掃される必要がある。これは、指名委員会のミッションとして公表したらやり易くなると思う。懸念されるのは、明るみになっていない他社での不正会計がどれだけ隠れているかである。シャープは別としてこの二社が不正会計に手を染めたのは、他の企業での「成功事例」があったからそれを真似たとしか思えない。

3. 社外取締役を充実させることが当然のように正しいことであるとして、不祥事の発覚後に社外取締役の人数を増やしているのがお決まりの対応策である。本当に社外取締役を増やすことが良いことなのかにもう一度頭を絞るべきであろう。そもそも取締役と取締役会の仕事は何かをもう一度考え直さなければならない。

4. 8/19日経は、代表執行役であった室町氏を社長に選任する事について、「社内事情に明るい室町氏の社長続投は譲れない」と報じている。生え抜きへのこだをりを目にするにつけ、IBM復活の立役者、ルイス・V・ガースナーを思い浮かべる。氏は、1993年4月、IBM初となる外部招請の会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した。2002年3月に最高経営責任者(CEO)を退任、同年12月に会長職を退任した。巨像も踊る−Who says Elephants Can't Dance? を出版している。
日本でも外部招聘が実証された成功への選択肢であれば、日本はアメリカにすでに22年後れていることになる。