戦後70年の首相談話に関する有識者懇談会「21世紀構想懇談会」が安倍晋三首相に提出した報告書

8/7日経「戦後70年談話 有識者懇報告書の要旨」を読んで。
報告書は安倍史観の整理、正当化である。16人の識者、6回の会合にどれだけの国費が費やされたのか。個人的史観に費やされるなら納税者の理解は得られるか。

報告書の史観は大別すると、戦前の部と戦後の部に分かれる。ここでは戦後について。


戦後は、ポツダム宣言東京裁判サンフランシスコ講和条約から始まるが、これらへの言及はない。報告書が安倍首相の史観(歴史修正主義)を踏まえている明白な例である。


次に加害者(日本)が被害者(中国と韓国)に意見するのは、違和感を覚える。これでは隣国との友好関係を築くのは今の政権の下では難しい。特に韓国には「韓国政府には一緒になって考えてもらう必要がある」と意見するのは如何なものか。加害者としての謙虚さが感じられない。中国に対しては「軍民二元論」を指摘するものの、評価はしていない。安倍首相に対して、政府も民衆もひとまとめに非友好的感情を醸成するような態度を改めよと指摘しているようにも受け取れる。


このような安倍史観(歴史修正主義)によって近現代史の教育を強化するのは、若者に右側の偏った見方を植え付け、近隣諸国との和解への道を困難にすることになろう。


軍事費については、1%の枠を取り払えと述べる。今後の予算編成にどのように反映されるのかが見ものである。


戦後は上手くいっていると自画自賛する割には、「秩序維持のコストを分担する責任ある国になってきた」という、これまでの方向性を放棄して大転換する理由付けは拙いように思われる。