企業統治の形態と会計基準の乱立

改正会社法により、上場会社は企業統治のあり方として、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社を選べるようになった。3種類の企業統治の形態に加え、会計報告の基準には4種類(日本基準、米国基準、国際会計基準、修正国際基準)が認められる(修正国際基準は16年3月期から)。企業統治の形態と会計基準の組み合わせは、これで12通りとなる。

これでは投資家は投資対象企業の評価に迷ってしまいそうだ。規制当局は、制度と基準の乱立を何時まで見逃すのが。

これが過度的な措置として、優劣を競わせて実情に相応しくない仕組みは一定期間後に淘汰されるという方針があるならまだしも、八岐大蛇ならぬ十二岐大蛇がのた打ち回っているようでは投資家は怖くて近づけない。

日経 企業会計基準委、修正国際基準を決議 16年3月期導入
2015/6/29 23:36
 企業会計基準委員会は29日、国際会計基準(IFRS)の一部を日本仕様に変更する修正国際基準(JMIS)の導入を決議した。日本基準、米国基準、IFRSに続く第4の会計ルールとなる。金融庁の手続きを経て2016年3月期から導入される見通し。ただIFRSの採用が広がるなか、実際に修正版が普及するかは不透明だ。

 修正国際基準はIFRSと2つの点で異なる。まず企業のM&A(合併・買収)で発生する「のれん」の扱いだ。会計上の価値と実際の買収額の差であるのれんを、修正版では日本基準と同様に定期的に費用処理する。IFRSは価値が下落した時点で損失を一気に計上(減損)する。もう一つは株式売却損益だ。修正版は全体の損益に反映するが、IFRSはしない。

 修正版を作ったのは日本では「のれんは定期償却が望ましい」(新日鉄住金の太田克彦副社長)といった声が根強いためだ。ただ一時は採用を検討していた住友理工では「買収した海外企業からの要請もあり今期からIFRSを採用した」(西村義明会長)という。

 IFRS導入企業は検討中を含め100社を超えた。4つの基準が乱立すると、投資家は混乱する可能性もある。市場では「修正版の採用が相次ぐとは考えにくい」との声が出ている。