日経の少しだけ進歩した東芝問題の報道

11/8日経は「不適切会計の経営責任を調べる外部委員会は、期待される注意義務を5人が果たさなかったと判断した」と従来のベースで報道しているが、判断したのは監査委員会と取締役会である。外部委員会は彼らへ助言する役割でしかない。

従来と異なるのは、「報告書を監査委員会に7日提出した」「監査委員会が報告に基づき損害賠償請求を決め、東芝は同日に提訴した」と、東芝のどの機関が意思決定を下したのかが伝えられている。

東芝不正会計問題で、どの機関が意思決定したのかが明示的に示されたのは今回が初めてではないだろうか。これまでは、擬人化された東芝という抽象的な存在でしか報道されていなかったのに比べれば、ささやかだが進歩である。

会社という擬人化されて抽象的な存在は、各機関の意思決定・行動によって具体的に動き出す。抽象的な東芝としか報道してこなかった日経の報道がどのように変わっていくのかを期待したい。