電力

太陽光買取制度(FIT)の結果検証はあったのか

2019年11月から10年間の買取期間を終了する。19年で53万件、23年までに165万件になる。FITを継続しないのだから、デメリット>メリットだったのだろう。だがその検証結果が公にされていないので、国民はどんなデメリット、どんなメリットがあったのかを知るこ…

原発事業:縮小均衡への道筋

日立、東芝と東電、中電の4社は、原子力事業の提携を協議することになった(8/22日経)。福島以降安全対策コストがかさみ「最早民間事業者1社で原発事業は担えない」からだ。加圧水型を手掛ける三菱重工と関西電、中国電などにも動きがあれば、将来的には2陣…

米の原発・石炭発電 不採算による閉鎖

6/1日経によれば、スリーマイル島の原発一基とペンシルベニア州の石炭火力発電二基が閉鎖される。理由は、天然ガスとの価格競争に敗れ採算が取れなくなったからである。天然ガス価格はシェール革命で10年前から6割下落し、発電コストと電力料は過去10年で45…

東電の新再建計画 他社との事業再編・統合は疑問が多い

東電は廃炉費用など今後30年間に15兆円を捻出しなければならない。そのためには手許の資源を最大限活用して収益性を高めなければならない。 3/23日経によれば、東電は今春に改定する再編計画の骨子を22日に発表した。骨子では他社との事業再編や統合をを積…

東電の福島関連費用 15.9兆円、30年に渡り支払い

12/9日経夕刊が報じていた。現状の収益構造が続くと仮定してのユーザの追加負担比率; 28/3期 単位:兆円 売上高 6.0 経常利益 0.3 年間の福島関連費用 0.5兆円 現状の利益水準を維持する場合:0.5/6.0=8.3% 経常利益をゼロとする場合:(0.5-0.3)/6.0=3…

福島第一・廃炉、賠償費20兆円

原発の採算は疑わしくなった。 11/27&11/30日経 経産省の推計 単位:兆円 - これまで 今回 賠償 5.4東電と他の大手も負担 8.0新電力も一部負担 除染 2.5国保有の東電株の売却益を充当 4.0-5.0不足分は東電が負担 中間貯蔵施設 1.1税金を投入 1.1同左 廃炉 2…

原発のリスク管理

核のごみ最終処分場候補について人口密度を基準としないことを経産省は決めた。こんな姑息なリスク管理を無視した手法では地域やそこに住む住民の安全は守れない(下記9/2日経を参照)。人口密度を基準にすると地方との交渉が進まないからこのような姑息な逃…

東電:不思議な国の資本主義

東電の廃炉費用への支援案が7/31日経に報じられている。 簡単に言うと、株式会社は有限責任なのに無限責任会社に変わる。 利用者はすでに支払った電力料に追加で料金を払わされる。利用者がなぜペナルティを払わなければならないのか、軽く見られている。過…

原発安全性 割れる司法 高裁支部、川内の停止認めず

4/7日経「九州電力川内原子力発電所1,2号機(鹿児島県)を巡り、福岡高裁宮崎支部が6日、運転差し止めを認めない決定を出した」。これに対して日経は、大津地裁の決定とは正反対の結論で、国のエネルギー政策や電力会社の経営が不透明な状況に変わりはない…

9/8日経経済教室「ピーク時電力 どう削減」「消費者へ働きかけ鍵に」「情報提供や特典付与」「節電計画の自動化も有効」依田高典・京都大学教授

ポイント ・時間帯別変動料金が「需要応答」の鍵握る ・消費者に委ねていては新型料金普及せず ・公正な競争維持へ市場監視の仕組み必要 クリティカル・ピークと呼ばれる時間帯(盛夏の昼間)は約1%だが、そのための発電費用は年間の10-15%にも達する。電…

配送電料は高いのか。短期的には高い。配送電網は長期的にはお荷物に。

9/4日経「独占続く送配電網、使用料高すぎる」「新旧電力、自由化前に火花」 北海道電力の場合、家庭向け使用料は1キロワット時当たり8.89円。このまま認可されれば道内の家庭向け電気料金27円前後の3分の1を使用料が占めることになる計算だ。他の地域でも状…

電力自由化の狙い。小売から海外へのシフト。自然な流れ。

電力自由化は、大きな市場を持つ東電にとっては、他社から侵食されるだけでメリットはないと思っていたが、それは内需しか考えていない狭い見方であった。9/3日経「電力大手、海外で稼ぐ」は、電力大手やJパワーが積極的に海外進出を行っていることを報じて…

電力会社に二重のしばり

5/21の福井地裁の判決(下記に引用した日経の記事)は、電力会社にとって頭の痛い問題である。原子力規制委員会の審査をパスしても、司法のほうからストップがかかるのではやりきれない。とはいえ、5/23日経社説のように、判決は非科学的だとか、規制委…

北海道ではインフラ事業は難しいのか

4/1日経「北海道電力に資本支援」「政投銀が優先株500億円」「債務超過を回避」「原発再稼動なお見えず」北海道は広すぎてインフラ投資の効率が悪い。これはJR北海道とも共通する問題だ。 日経の記事から思うのは、500億円の資本支援は時間稼ぎの…

電力:東西の融通

12/8日経「電力、東西の取引3倍」「経産省、15年に境界越えた競争促す」経産省は電力市場での競争を促進するために、電力融通システムを拡充して東西の境界(50Hzと60Hz)を越える電力取引を拡大する。競争促進という美名はあるものの、電力融通シス…

水素発電所

10/24日経「Tech トレンド 水素社会(中)」「世界初の水素発電所」「石炭火力並みコスト視野」 これが計画通りに進めば、電力事情が大きく変わる。(記事の要約) 千代田化工建設は2015年に世界初となる水素の輸入・供給基地を川崎市に建設する。…

送電網に蓄電機能を持たせるのはペイするか

7/13日経夕刊「送電網に蓄電機能」「三菱電機 トラブル時、代替給電」 送電線の先に大型蓄電池を設け、電気が届かないときは蓄電池が発電所に代わって10−1,000世帯に1週間以上給電する。 問題はコストである。日経は次のように伝える。 電力会社や自治体の…

原子力規制基準

6/20日経によれば、新規制基準は次のようだ。 原子力規制委員会は19日、原子力発電所の新しい規制基準を決めた。7月の施行後、規制委は基準をもとに全国の原発の安全性を評価し、ふるい分ける。従来の規制が想定していなかった規模の事故が起きても、…

電力システム改革専門委員会報告書

2/9日経・電力システム改革専門委員会報告書(以下、「報告書」)が公表された。 骨子は次の通り。 2015年に電力需給を広域で調整する機関(広域系統運用機関)をつくる。16年には電力小売りを全面自由化し「地域独占」をなくす。電力会社の配送電部門…

敦賀原発:稼動かさもなくば廃炉という二者択一

12/12日経「敦賀原発直下 活断層の可能性」「日本電源、根拠が不十分」「規制委に公開質問状」 原子力規制委員会の評価会合の2号機の真下に活断層が通っている可能性が高いとした統一見解について、日本電源が反発している。 規制委員会の統一見解の公…

12/11日経「敦賀原発、再稼動困難に」

12/11日経「敦賀原発、再稼動困難に」「規制委、活断層の可能性」「原子炉直下、廃炉の可能性」 原子力規制委員会が専門家を交えて10日開いた評価会合は「2号機建屋の真下に活断層がある可能性が高い」との判断で一致。 この判断自体は専門家の判断…

有権者をミスリードする脱原発論

世界最大の太陽光発電メーカー「サンテックパワー」(中国)の経営がおかしい。 中国株式市場上場の太陽光発電メーカー全体の第3四半期の売り上げが100億元未満に対し、在庫は500億元である(下記に関連ニュースを引用)。経営のミスではなく、太陽光…

エネルギー・環境戦略

9/15 日経「原発ゼロ 矛盾随所に」「再稼動を明記 核燃サイクル継続」「選挙にらみ迷走」 政府は14日、2030年代に原発稼動ゼロを目指す方針を盛り込んだ新たなエネルギー・環境戦略をまとめた。原発に依存しない社会の一日も早い実現をうたう一方、安…

再生エネルギーによる発電能力

8/31日経・「洋上風力、地熱、バイオス、海洋 2030年に6倍」「発電能力の1割」新たな展開があるように見えるかもしれないが、実態はお寒い限りである。再生エネルギーの新しい目標(単位:万KW) - - 2010年度実績 20年 30年 1 洋上風力 3 40 803 2 地熱 53 …

人気投票で決めるエネルギー・ミックス

与党民主党のエネルギー政策は、2030年に向けて原発依存度ゼロになりそうだ。「意見聴取会」や「パブリックコメント」、「討論型世論調査(DP)」の結果で、いずれも、「原発比率ゼロ」の支持者がもっとも多いからだ。これをポピュリズム政治の極まった姿…

8/5日経「北海道、冬に10%節電」「泊再稼動見込めず」

8/5日経「北海道、冬に10%節電」「泊再稼動見込めず」「政府方針」「暖房・融雪に影響」政治状況からは、このようなことになるというのはあるのかもしれないが、責任ある政治家の判断とはいえない。反原発デモと党内反対勢力を恐れて立ちすくむだけでは、こ…

電力会社の社長は悪者か

今週は、関電・八木社長が枝野経産相を不快にさせた発言があった。 産経新聞:「次は高浜」で陳謝の関電社長 政府の不快感にも発言撤回せず http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120727/wec12072723480011-n1.htm 2012.7.27 23:47 (1/2ページ…

野田首相は少しお疲れ?

野田首相は少しお疲れ?ここに来て野田首相の周辺が騒がしい。離党者が続出し、気もそぞろなのだろう。メディアもこれまでの小沢氏悪人論だけではもたなくなってきた。その中で、政府主催の「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」に対する批判がか…

電力改革は見掛け倒し

7/14日経 経済産業省・電力システム改革専門委員会(委員長・伊藤元重東大教授)「改革の基本方針」 電力会社が一体で手がけている発電と送電の事業を分ける「発送電分離」では2つの方式を示し、導入に反対してきた電力業界も容認に転じた。電力の小売りは家…

6/10日経・風見鶏「原発にも文民統制が要る」

6/10日経・風見鶏「原発にも文民統制が要る」特別編集委員・伊奈久喜氏 面白そうなタイトルだが、要約すると次のようになる。 政治家は選挙で落とすという責任追及ができるので野田政権を信頼し、判断を任せられる。専門家は選挙で落とすという責任追及がで…