TPP対策は消費者を愚ろうしている

10/7日経「コメ価格維持に重点」
(TPP対策で)米では米国とオーストラリアからの新規輸入分と同量の国産米を政府が買い上げて備蓄米にするのが柱となる。
13年度は183千トン買い上げ、449億円を投じた。仮に78千トンを追加すると、国費負担は年700-800億円増えるとみられる(250-350億円の増加)。

消費者にはTPPの恩恵はびた一文渡さない方針のようですね。それどころか財政負担が増えて、つけは税金として消費者に回ってくる。悪いことしかなさそう。それに財政負担増の試算が多すぎるのでは。200円/kgで80千トン買い入れるとして、160億円。90−190億円は保管料だろう(5年ほど保管する)。最後は廃棄か飼料用に格安で払い下げするようだ。

10/9日経「甘利経済相に聞く」は「TPP、地域安保に寄与」の見出しが目に付く。
甘利大臣は「TPPは経済の話だが、これは間接的な安全保障で地域の安定に貢献する」と語る。それなのに、解説記事で坂口幸裕記者は、「それが(安全保障のこと)TPPの本質だ」と言い切っている。記事の見出しと併せると、安全保障がメインであることを官邸からインプットされたのだろう。つまり、経済は二の次だ。結局のところアメリカに協調すれば国民のためにならなくても良いのだというのが本音のように思える。

10/9日経夕刊「TPP対策へ3基本方針」「首相、攻めの農業に転換」
「攻め」が好きな首相だけど、本気でそんなことを思っているのかい。農水省の試算では、TPPによって農業生産高は3兆円の生産額減少になるそうだ。仮措きの数字で、一戸当たり生産高30百万円、所得が3百万円とすると、10万戸の農家が消滅することになる。それなのに、競争力を強化し輸出を拡大するとぶち上げる。農民票をつなぎ止めるリップ・サービスだろうけれど、全部の農家を救うという、できもしないことをぶち上げるのはどうかね。必要なのは、大量の離農者の出口戦略だよね。

経済的に意味があることは、10万戸の離農農家を所得5百万円の仕事に誘導することである。それだけでGDPは2千億円増える。残った競争力のある農家は、規模拡大で所得が増える。結構じゃないか。
それに、農家の平均年齢は65歳を超えているという。普通の職業であれば定年退職する年齢だ。それに国が補助するなんて話は聞いたことがない。票を税金で買っているとしか思えない。

NOSAI 山梨
http://www.nosai-yamanashi.or.jp/modules/minidiary/detail.php?bid=218
(13年)3月23日(土)の朝日新聞に「TPP減収農家に補填 農水・自民、共済拡充を検討」という記事が掲載されました。
政府のTPP影響試算によると、農林水産業は10年後に3兆円もの生産額減少になるそうです。