9/8日経経済教室「ピーク時電力 どう削減」「消費者へ働きかけ鍵に」「情報提供や特典付与」「節電計画の自動化も有効」依田高典・京都大学教授

ポイント
・時間帯別変動料金が「需要応答」の鍵握る
・消費者に委ねていては新型料金普及せず
・公正な競争維持へ市場監視の仕組み必要

クリティカル・ピークと呼ばれる時間帯(盛夏の昼間)は約1%だが、そのための発電費用は年間の10-15%にも達する。

電力会社の営業費用の6-7割を発電が占めているので、このピーク需要を抑えられれば電気代は5-10%下げられる計算になる。

1兆円をかけてスマート・メーターを設置しても、宝の持ち腐れになりかねない。

時間帯別変動料金制を導入して、需要応答させるというのが教授の主張である。
机上の計算ではそうかもしれないが、現実的には無理がありそうである。

・最も必要な時に電気を使わせないようにするのは、生命の問題がある。かえって、熱中症などで医療費用が発生して、ネットとしてのコスト削減効果は少ないかもしれない。
・スマート・メーターを設置するとか公正な競争を維持するために市場監視の仕組みを設けるなど、コスト・アップ志向が強い。これでは日本経済の効率化に役に立たない。
・自然に対しそのマイナス面をカネと技術力で封じ込めようとする考えであるが、人間は自然を克服することができるのか(鬼怒川の氾濫や大津波)。
・教授の提案は、猛暑でも人々が働くのは当然であるという勤労精神を前提としているようだ。それは温暖化の進む現在の気象環境の中で国民を苦しめる精神論のように思える。

兼好法師徒然草に「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」と書き残している。

兼好法師は、家だけについて述べているのではなく、ライフ・スタイル全体を夏に適応できるようにしなさいと提言しているのではないだろうか。

真夏に人々を働かせるのは合理的ではない。
仕事の効率を考えると、工場、事務所、通勤などで余計な空調コストをかけることなく、人々が快適に働ける春や秋に目一杯働いてもらうのが良い。夏は、逆に空調費用がかさむだけでなく、人々は通勤や外回りですごく消耗して能率が落ちる。

日本の夏の暑さを考えると(北海道は別だが)、7月末から8月中旬ぐらいに2週間ほどの超大型連休を導入して、経済活動を低下させるのがカネのかからない良策のように思える。その代わりに、5月のゴールデン・ウイークや9月のシルバー・ウイークを廃止するのだ。これで年間の総労働日数は変わりなく、高能率で働ける時にだけ働いてもらうことが可能になる。しかも、電力に余計なコストをかけないので、電力料が下がり消費を喚起することにもなる。ピーク時対策などといって電力業界に金をつぎ込むのは、東芝などの重電メーカーを喜ばせるだけで、日本経済や国民にはプラスにはならない。
2020年のオリンピックが良い契機になるのではないだろうか。

Yahoo 知恵袋「電力ピークについて質問させていただきます。」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13105416588

2001年7月は、梅雨明け宣言前だというのに、日本付近は太平洋高気圧に広く覆われ、連日、カンカン照りの猛暑日に襲われました。気象庁のある東京大手町は7月1日晴れ36.7度、4日晴れ35.3度、5日晴れ34.9度、12日快晴35.7度、13日快晴36.1度、14日晴れ35.1度、15日快晴34.4度、22日晴れ34.6度、23日薄曇り35.6度、と来て、ついに24日晴れ最高気温38.1度の猛暑日を記録しました。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

当日13時から14時の間に、東京電力は6430万kWという未曽有の最大電力を記録しました。この記録は日本の電力史上に燦然と輝く大記録で、今も破られていません(『数値で見る東京電力』の27ページ)。

(参考2)北海道電力の最大電力記録は2011年1月12日17時〜18時の578.8kW
http://www.hepco.co.jp/corporate/ele_power/sale/sale.html#l2

2009年度は2010年2月2日17時〜18時の568.6kWが最大電力
2010年度は2011年1月12日17時〜18時の578.8kWが最大電力
2011年度は2011年12月22日16時〜17時の558.2kWが最大電力
2012年度は2013年1月18日17時〜18時の551.5kWが最大電力