三菱MRJは成功するか。日本産業の劣化を懸念する。

MRJが開発を4年間延長してようやく試験飛行にたどり着いた。
MRJが成功するかは、三菱と協力会社の技術力に依存するが、最近のわが国産業界の劣化が目立ち、先行きに楽観的にはなれない。

東芝の不正会計問題、東洋ゴムの偽装免震ゴム問題、杭打ちの偽装データ問題、MRJの4年間の開発遅れ、もんじゅの操業停止、これらに共通するのは産業界の技術力の劣化とそれに伴う競争力の喪失である。

これらを並べると不正会計問題はささやかなもので(資本市場を裏切ったのはそれはそれで大罪ではあるが)、自社製品・サービスを偽装するのはそれだけでその企業の社会的存立基盤を否定するものである。MRJの開発が4年も遅れたのは、手抜きすると墜落してしまうので(撤退という選択肢を選ぶことができず)時間を引き延ばしてやらざるを得なかった。4年間の遅れで競争力は大幅に失われているだろう。もんじゅに至っては、今の技術力で稼動すると、壊滅的な破壊が起きるからである。

自社製品を偽ってまでも客に提供するのは、数年前に発覚したレストランのメニューの偽装がはしりだった。

日本経済の低迷が産業界の技術力の低下の反映であるとすれば、政府の成長戦略の本丸は、技術力をどうやって高めるかである。それなのに、企業統治改革で競争力を強化できるというのは、全くの的外れである。ROEで尻を叩くのは、企業をあらぬ方向へ走らせることになりかねない。