東芝、決算発表を再延期。室町社長は東芝が委員会設置会社であることを理解できていない。

東芝が決算発表を再延期することになった。このこと自体、不正会計が全社的に行われたのであるから、東芝ほどの規模の会社ではあり得る事象であって殊更騒ぎ立てることではない。9/1日経では、内部通報が機能したようなことを伝えるが、それは本質的なことではない。むしろ、企業統治改革が矮小化された方向に歪められ、本当に考えるべきことを見逃してしまう。

室町社長は、9/1日経では、「2度目の決算発表延期だ。経営陣の責任は」という問いに対し、「万が一、期限通りに提出できない事態に陥った場合、進退問題も含めて考える」と答えた。

室町社長が社長に選任されたこと、この日の記者会見に室町社長が登場したことの不適切さを措いて、この発言は室町社長やその周辺の人達は東芝委員会設置会社に移行したことを未だ理解していないことを問わず語っている。

室町社長は社長の進退は自らが決すべしという考えの持ち主のようだ。だが、委員会設置会社では社長(執行側のトップ)のクビは、指名委員会と取締役会が握っている。委員会設置会社が良いか悪いかの議論は別として、委員会設置会社を選んだ以上、その理念を尊重するのが企業社会でお手本となるリーディング・カンパニーの使命であろう。

室町社長は、「私の進退は取締役会に預けています」と答えていれば、企業統治改革の金字塔として賞賛されたであろう。