軽減税率を主張する前に消費者の納めた税は国庫に届いているのか

(税率が10%になって)私が商店で100円の商品を買うと、それとは別に10円を消費税として商店に預ける。それが、間違いなく国庫に入ればよいのだが、商店に抜き取られて8円とか9円に目減りしていたら返してくれと叫ぶだろう。

軽減税率問題が喧しい。それを導入するかどうかは別として、税率を上げるなら、まず消費者に対して消費者が事業者に支払った消費税がきちんと国庫に納められているかの説明責任を果たすのが国の役割である。単純に考えても、8%が10%になるのだから責任は25%重くなるはずである。5%の時代からは倍の説明責任である。

10/18日経によれば、近畿大学講師・鈴木善充氏の試算では益税は5千億円になるという。だがこれは他の納税義務者が全て真面目に申告・納税しているという前提である。私たちは、マンション偽装問題に限らず事業者の中には悪い連中もいることを知っている。すべての納税義務者が真面目に申告・納税しているとは確信できない。

制度的にこれを担保するには、インボイスや納税者番号で全ての消費税履歴を残すことである。これには、事業者の事務負担が増えるとか零細業者がサプライ・チェーンから排除されるという反対論がある。だが、それぐらいできないようではこの国で商売をやる資格はないのではないが。

逆に国は、納税額に例えば0.1%ほどの徴収手数料を支払うことを考えてもよいのではないか。27兆円(2.7兆円×10%)×0.1%=270億円。
事業者は売上を除外すると、消費税と法人税をダブルで逃れられるのだから、税率が上がるほど道を外しやすくなる。