法人減税、there''s no such thing as a free lunch

法人税実効税率は16年度から32.11%から29.97%に引き下げられる。
必要な財源(1兆円)は外形標準課税を強化すること(8千億円)、減価償却から定率法の適用を見直すこと(千数百億円?)、繰越欠損金の控除を縮小すること(数百億円)などで確保する。

日本は財政支出>税収となっているので、企業減税をするとその分の行政サービスが減ることになる。ところが、報道では減税オンリーでどんなサービスが減らされるのかは一切報じられない。財源があるから行政サービスはカットされないという建前であろうけれど。

法人減税をするのは、その国のインフラや事業環境が貧弱でその欠点を補うために行うものである。豊かな国内市場と優秀な人材を抱えるアメリカの税率が一番高い理由はここにある。
法人減税をすることは将来の行政サービスを削って、行政サービスの足りない分は自助努力で補えと言うことと同義である。
法人減税の行き着くところが、荒廃した社会、貧富の差の拡大した社会でなければよいのだが。

実効税率引き下げの政策は、賃金引上げや設備投資推進のお題目に反し、反賃金引上げ、反設備投資のテーマが濃厚である。安倍首相はヘッドラインの実効税率引き下げだけを宣伝し、その本当の効果には目をつぶっているのである。

ところで、11/28日経「法人税29%台固まる」「来年度目標達成前倒し」「従来の予定を1年前倒しする」とは何だろう。これでは、税率引き下げそのものが目標であることを語っている。投資が増えるとか賃金が上がるという効果はお題目に過ぎないことを自ら語っている。

主要国の実効税率。ドイツは財政黒字なので税を納税者に返すことは理解し易い。
アメリカ40.75%、フランス33.33%、ドイツ29.66%、中国25.0%など。