配送電料は高いのか。短期的には高い。配送電網は長期的にはお荷物に。

9/4日経「独占続く送配電網、使用料高すぎる」「新旧電力、自由化前に火花」

北海道電力の場合、家庭向け使用料は1キロワット時当たり8.89円。このまま認可されれば道内の家庭向け電気料金27円前後の3分の1を使用料が占めることになる計算だ。他の地域でも状況は似たり寄ったりだ。東京電力が申請した使用料は8.61円。

だが配送電料は、既に電力料の改定の際に厳しく見直され、総括原価制ではあるものの認可されているので、大きく見直されることはないだろう。
実は、配送電料は高いほうが長期的には電力料を安くする。

これと似たような話として、日経は固定電話時代のNTTと第2電電の市内通信網の使用料の争いを伝える。だが、日経はこの話の落ちを伝えない。時代は携帯電話に変わって、劇的なことに優良資産であった固定電話網が、オセロゲームのように不良資産化した。このため、ユニバーサルサービスを維持するため、国民は、一台につき7円/月の上乗せ料を支払わされている。携帯電話の保有台数を1億台とすると、国民は年間で7円×1億台×12ヶ月=84億円もNTTに支払っている。これを無くせば、幾らかでも消費回復の助けとなるのに。

同じことが電力でも起こらないとは限らない。これを可能にする技術力をイノベーションと呼ぶ。配送電網を完全になくすことは無理だとしても、現在のように東北の奥地から首都圏に送電するのが無駄になる時代はそうは遠くないように思える。そのために、小型発電設備と蓄電池の飛躍的性能向上が期待される。長距離の送電ロスはおよそ5%ほどと試算されている。発電の地産地消化を進めて、長距離送電網が不要となれば、配送電料は大幅に下がるだろう。そのためには、現在の配送電料が高いほうがイノベーションの動機を高めるので、長期的には国全体の電力料を安くする。

まごまごしていると、テスラ・モーターズや韓国の蓄電池メーカーに基幹技術を握られてしまうぞ。