原子力損害賠償機構が東電へ1兆円規模の公的資金を資本注入

12/22(木)日経「原子力損害賠償機構が東電へ1兆円規模の公的資金を資本注入」

上の資本注入の記事のほかに、「東電、企業向け値上げ」「産業界負担増5千億円」という記事が一面に掲載されている。公的資金を入れるのであるから国民負担を明らかにするため出口戦略(公的資金の回収)を国民に示すべきものであるが、記事からは企業価値を高めるための資本注入ではないので回収の見込みは乏しい。

だが援助資金は賠償以外に使えず、廃炉費用が明確になれば巨額の損失処理で、今年度末にも債務超過に陥りかねない綱渡りが続いている。そこで浮上したのが機構の出資機能を使った資本注入案だ。

1兆円もの国費を投入して東電の存続にこだわるのか。戦略の誤り、戦力の逐次投入でないことを願う。

戦略が良ければ戦術の失敗は挽回できるが、戦略の失敗は戦術では取り返せない(good strategy can compensate for bad tactics but good tactics cannot compensate for bad strategy;出所不明、孫子の考えをベースにした文章であるともいわれる)という言葉が思い起こされる。

追記 12/23 7:40AM

1兆円の根拠(総合面)
東電に関する経営・財務調査委員会(委員長・下河辺和彦弁護士)が10月に1-4号機で1.151兆円と試算した廃炉費用について、今回の工程表ではどのくらいの金額になるか明示されなかった。経産省の関係者は「技術面から廃炉をどう進めるかのみ考えた技術工程表。費用を見積もれる範囲だけでも資金をどう手当てするか示してもよかった」と語る。