元ECB専務理事・オトマール・イッシング(Otmar Issing)氏

10/2/11日経「けいざい解説」土屋直也氏
「ユーロ離脱は現実的か」というコラムで、2001年のアルゼンチンのドル・ペッグ離脱の例を掲げて参考になる。

このコラムではECB元専務理事オトマール・イッシング(Otmar Issing)氏の独・週刊誌スターンとのインタビュー記事を引用していた。ギリシアの再生には50%以上の債務減免とユーロ離脱以外に選択肢は無い、という発言である。イッシング氏はドイツの著名なエコノミストで、ユーロの創設にもかかわった人物である。


Credit Writedownsに掲載された英文への翻訳から氏の主張は次のようであった。
1. ユーロ圏内で再建計画を実施することは、ギリシアや他の債務国に債務削減を通した事実上の白紙委任状を与えることになる。これは通貨同盟の終焉となろう。ギリシアはユーロから離脱しなければならない。

2. 他の安定したユーロ諸国への波及に警告を発している。この波及は回避されなければならない、なぜなら、イタリアは大きすぎて誰も救済できないからである。Italy is too big to be rescued by others. もしそうなったときは、金融システム全体が崩壊するだろう。この危機は現実的である。This danger is real.

3. ユーロ共同債を主張する者は、安定したユーロの墓堀人夫になるだろうと警告する。ユーロ共同債を発行すると、結局、他のユーロの国々も負債のスパイラルに巻き込まれ、ドイツの金融政策も息を止められてしまう。それは,安定したユーロという企画の死を意味する。


わが国では欧州金融安定基金(EFSF)の拡充やユーロ共同債の導入が問題解決の切り札であるかのように報じられるが、少し違うようだ。当事者たちにはもっと強い危機感がある。