11/21(月)日経「景気指標」日本のエンゲル係数なぜ高い

11/21(月)日経「景気指標」日本のエンゲル係数なぜ高い 編集委員  太田恭彦氏

日本のエンゲル係数がここ10年間は約23%にピタリと張り付いて動かない、と指摘している。他国および日本の過去の係数の推移を次のように示している。

エンゲル係数(%)
ミャンマー 72.7 -
インド 43.6 -
米国 7.2 -
ドイツ 6.9 -
英国 11.4 -
日本 66.7 1946
- 28.0 1980

日本の係数が高い理由は、日本で買う食料品の値段が、他の先進国より高いからだとして次の物価(昨年下期の実態調査)を引用する。

日本 米国 英国
豚肉1KG 2,400 828 798
牛乳1L 216 100 99


関税削減で食品の価格が下がれば、エンゲル係数も下がり、家計はそのお金を他の支出に回せるはずだ。TPPが、輸出産業だけを利するという見方は誤りだ。自由貿易の最大の受益者は消費者である、と結論する。日経の一面や社説でのTPPに入らなければ日本の産業が衰退するという論調とは一線を画する正論である。このような記者がいる限り日経は大丈夫だ。

それでは、エンゲル係数が先進国並みの10%に引き下げられれば家計にどれだけの購買力が戻されるのかをラフに試算してみる。

総務省HP統計データ
http://www.stat.go.jp/data/index.htm

家計調査報告(家計収支編)―平成23年7〜9月期平均速報―
消費支出  242,602円/月
食料     58,611円/月 24.1%(日経の記事とほぼ整合する)

平成22年国政調査
一般世帯数は5184万2千世帯,増加傾向

エンゲル係数が10%になるとすると、全世帯で(34,206円/世帯)1.77兆円/月、21.27兆円/年の購買力が家計に生まれる。

21兆円もあれば消費税増税12.5兆円(5%相当分)あってもまだ8.5兆円のお釣りがある。すごい成長の起爆剤だ。副次的に食品輸入が増え、それが輸出を増やすという好サイクルにもなる。TPPで産業界の輸出競争力を高めるという見方は、実は円高というルートを通して円ベースの輸出が増えないというパラドックスになる。民草を信じてお金を庶民に戻すのが一番スマートな成長戦略だ。