企業統治

フィアット(FCA)、ルノーと経営統合 日産はどうなるか

統合会社はオランダに置く。統合会社の株主は、フィアット株主50%、ルノー株主50%となる。取締役会は、フィアット4、ルノー4、日産1、その他(たぶん独立)2、計11。 目立つのは日産の取締役枠が1名で、これでは日産はフィアット、ルノーの言いなりになっ…

日産の今後の行方

5/18日経 日産の取締役候補を伝える。 日産出身 3、ルノー出身 2、社外 6 計 11 社外がどちら寄りなのかは分からないが、しばらく統合は棚上げになるかもしれない。ルノーの出方次第である。 西川CEO は続投であるが、業績低迷の責任は免れない。4年連続の減…

ルノーが経営統合を提案、日産の主張(拒否)は通らないだろう

4/27日経は伝える。「ルノー、持株会社提案へ」「第三国に本社、役員同数」「日産は慎重、曲折も」と。 ・日産の企業統治改革専門委員会は何を議論していたのだろう。委員会では日産の企業統治ばかりが議論され、ルノーの企業統治には触れていないようだった…

日産取締役会は推定有罪で司法に前のめりになっている

4/8日産臨時株主総会でカルロス・ゴーン(CG)取締役の解任が決議された。日産取締役会は推定有罪の立場からCG追放を一義としているように見える。 取締役会の使命は、経営の監督と株主利益の擁護であるはずだ。CGが有罪かどうかは司法が決めるべき事柄であ…

日産自動車 企業統治改革専門委員会 提言 欠けているもの

3/28日経の報道。「監督・執行分離促す」「会長職廃止を」「西川氏の責任論 早々に封印」 この提言で触れられていない論点、おそらく故意に避けたのは大株主との関係である。仏政府はルノーの株式を15%握っていて、ルノーに日産との経営統合を促している。…

ルノーの企業統治はどうあるべきか

カルロス・ゴーン(CG)の特別背任罪の容疑による三度目の逮捕があった(12/21)。金商法の形式的違反から、本丸である特別背任罪につながる流れは、かってあった外為法違反という形式犯から、本丸へ向かう検察の捜査のやり方を思い起こさせる。当時と違うの…

すかいらーく創業者・横川竟(きわむ、1937年11月1日生)が明かすMBOの真相

日経9月の私の履歴書は、すかいらーく創業者・横川竟と3兄弟によるすかいらーく誕生から始まるレストランビジネスの歴史を描く。 そのなかで驚かさせられたのは、すかいらーくがMBOによって上場廃止になった裏話である。公表された声明には市場を気にせずに…

イーロン・マスクへのSEC の強硬姿勢

EMの株式非公開ツイッターに対し、SECが「相場操縦」「風説の流布」の相当する罪状(証券詐欺罪)で連邦地裁に提訴した。その中で驚かされるのは、「マスク氏が公開企業の幹部や取締役に就くことを禁止するよう要求した」ことである。日本の場合は、刑事罰が…

企業統治に関する意見、アメリカ型の株主重視モデルをまねるな

2000年代になってからの日本企業の経常利益(上昇)、投資(横ばい)、労働分配率(下落)の推移を見ると、日本企業は株主重視にかじを切り、「資本主義的搾取」の典型例となっている。8/10日経経済教室「資本主義の未来⑤」CA大学バークレー校教授、ステーブ…

出光、シェル合併へ

3年近くもめていた出光とシェルの合併問題が、創業家の歩み寄りで決着する方向になった。 日経は終始、出光の経営陣を支持していた。産業政策上、合併を推進すべしという意見はある。 企業統治上、大株主の意向に反してサラリーマン社長が合併推進で大株主と…

東芝、取締役を増員する

6/27東芝株主総会。減資、メモリー事業分離後は営業利益が5千億円超から7百億円に縮小。身丈にあった体制にすることが進んでいる。その中で異様なのは、取締役を10名(社外6)から12名(社外7)に増員することだ。 東芝は縮小均衡の過程にいる。業務執行もメ…

会社法改正と社外取締役

試案が取りまとめられ、19年度通常国会に提出される。 狙いは、会社と株主の対話を深めることであるという。改正案では、社外取締役を義務化するかが論点になっている。 いずれにしても社外取締役が今後も増えていくのだろう。社外取締役が増えることは、こ…

野村AMの6月総会の賛否開示

7/19日経が野村AMによる6月に開催された株主総会での議決権行使の状況を伝えている。注目したいのは、野村グループの中核会社である野村證券が幹事証券である富士フィルムと東芝で役員選任に反対票を投じたことである。富士フィルム: 会長、社長、経営企画…

出光増資、地裁 増資認める

出光が発行済株式の約3割に当たる4,800万株を公募増資で発行し、1,200億円程度を調達する。これに対して創業家(大株主)は持株比率が33.92%から26.00%程度に低下することから新株発行を差し止める仮処分を申請していた。地裁の判断は次のようだ(7/19日経…

富士フィルムの75%子会社・富士ゼロックスの不正会計

富士ゼロックスのNZおよびAUS子会社の不正会計で、富士ゼロックスの会長が解任され富士フィルムの会長・古森重隆(77)が兼務することになった。古森会長は本件の責任をとり、助野健児社長とともに4−6月の報酬を1割返上する。ところで古森会長が富士ゼロック…

東電の人事 広瀬直巳社長の肩書きの異様さ

広瀬代表執行役社長は来る株主総会で社長を退任し、執行役副会長福島事故担当に転じると報じられている。執行役副会長には違和感がある。副会長は会長を補佐する役割で、会長に事故があった場合にはその代行を行なう地位である。その意味で、副会長は取締役…

株主提案権の濫用的行使

2/10日経によれば、株主提案権の濫用的行使を防止するため、新たな措置の具体的な検討に入った。株主提案権は総株式の議決権の1%以上または300個以上の議決権を6ヶ月以上前から保有する株主に認められている。 今回の検討の方向は、 ① 株主提案の数に制限…

出光・昭シェル、 合併延期 大株主を説得できず

出光の月岡社長は17年4月の昭和シェルとの合併を延期すると発表した。延期は1年で実現を目指すとも述べた。大株主と経営陣との意見の衝突はしばしばあることである。それは大株主と経営陣の間で調整されるべきものである。問題は創業家と月岡社長の主張のど…

ベネッセの社長交代

6月末の株主総会で選任された福原賢一氏が代表取締役副会長に退き、社外取締役の安達保氏が10/1付けで社長に就任することになった。9/10日経は「ベネッセ迷走止まらず」「わずか3ヶ月、また社長交代」「創業家の意向はない」と報じている。 日経の報道はベネ…

出光「企業価値向上か、創業家統治か」

相変わらず日経は経営側と創業家という対立図の中で出光問題を描こうとする。劇画風だけど、東スポならこんな表現でも良いのだろうけど日経がこれではミスリードするだけだ。創業家とは会社法にも企業統治指針にも特別のステータスを与えられた関係者とはさ…

監査役会設置会社の指名委員会

監査役会設置会社の指名委員会は任意の委員会である。取締役会か社長への助言機関として設置される。5/18日経では、「「指名委」設置4倍、475社」の見出しがあった。内訳は、指名委員会等設置会社が67社(前年と殆ど変わらず)、任意の指名委員会が406社で、…

7&i 取締役会の投票方法

7&i(以下「セブン」と略す)取締役会の採決が秘密投票で行われたことについて、日経などは疑問を呈することはなかったが、本日の大機小機「取締役会と秘密投票」腹鼓は問題点を整理し、重要な提言を行っている。新聞の論調は、社外取締役が会長提案を承諾…

セブン社長交代案を取締役会は承認せず、社外取締役ら反対

取締役会は15名で、うち社外が4名。投票の内訳は、会社提案への賛成が7、反対が6、白票が2であった。4名の社外取締役が反対したとしても、社内取締役の2名が反対し、他の社内取締役2名が白票を投じたことになる。これでは鈴木会長は身を引かざるを得ないだろ…

日経の少しだけ進歩した東芝問題の報道

11/8日経は「不適切会計の経営責任を調べる外部委員会は、期待される注意義務を5人が果たさなかったと判断した」と従来のベースで報道しているが、判断したのは監査委員会と取締役会である。外部委員会は彼らへ助言する役割でしかない。従来と異なるのは、…

VWのCEOは自分で辞任する自由もない。

VWのCEOは、東芝のように自分で辞めたいときに辞める自由はない。辞めることにも監査役会(取締役会に相当)の許しを得なければならない。日本企業の経営者はこの不自由さを受け入れなければ、世界標準の企業統治に近づけない。(9/24読売)ウインターコーン…

委員会設置会社は経営を弱体化させるのか。そうではないようだ。

委員会設置会社は、どこも経営がぱっとしない。良い例が東芝やソニーである。私は、かって委員会設置会社と低迷する経営には因果関係があると思っていたが、東芝の問題を観察すると、経営が低迷するので株主の要求を受け入れざるを得なくなって委員会設置会…

東芝、決算発表を再延期。室町社長は東芝が委員会設置会社であることを理解できていない。

東芝が決算発表を再延期することになった。このこと自体、不正会計が全社的に行われたのであるから、東芝ほどの規模の会社ではあり得る事象であって殊更騒ぎ立てることではない。9/1日経では、内部通報が機能したようなことを伝えるが、それは本質的なことで…

東芝:これでは期待できない企業統治改革

8/19日経は「東芝、背水の新体制」「議長決まらず」「室町社長も暫定」と報じている。 これでは旧態依然であって、新しい企業統治体制の確立、取締役会の改革につながらない。「(取締役会)議長決まらず」とは異常な事態であるが、日経はその経緯を色々な意…

ソフトバンク副社長が600億円で自社株買い

SBのニケシュ・アローラ副社長が自己資金を投じて600億円相当のソフトバンク株式を買う(8/20日経)。これで少し前に世間をビックリさせた165億円の巨額報酬のからくりが分かる。 税引き後の手取りを120億円とすると、これを元手に600億円の自社株買いを行う…

オリンパス、シャープ、東芝に共通する統治の病

これらの会社の統治不全の病根は共通するところがある。そろそろ共通する病理を抽出し、一般化する時が来ているのではないだろうか。 1. 中興の祖とされる実力社長が、退任後も何代にも渡り影響力を行使している。 2. 新たに選任された社長が全力を発揮でき…