出光・昭シェル、 合併延期 大株主を説得できず

出光の月岡社長は17年4月の昭和シェルとの合併を延期すると発表した。延期は1年で実現を目指すとも述べた。

大株主と経営陣との意見の衝突はしばしばあることである。それは大株主と経営陣の間で調整されるべきものである。問題は創業家と月岡社長の主張のどちらに正統性があるかである。
創業家は合併の特別決議を拒否できる1/3超の株式を保有する。拒否権は会社法で認められた正当な株主の権利である。正当な株主権の行使を誰も止めることは出来ない。
・月岡社長は合併提案を大株主に説得することに失敗した。月岡社長は6月末の株主総会で52.3%の賛成で再任が認められた。彼が2/3超の賛成を得ていたなら、合併を延期して大株主の説得を続けることに大義名分があるだろう。

業界再編は合併だけが解ではない。いくつかある手段のうちの一つに過ぎない。大株主は合併しないほうが出光のためになると主張している。大株主の主張を否定する材料は無い。合併が良いか悪いかはやって見なければわからない。

月岡社長は合併の提案が大株主に否定されたのであるから、辞任するのが筋の通った進退のあり方である。このままこれまでの主張を続けるのは経営陣の株主に対する反乱に見える。
大株主は、株式を買い増して50%超の支配権を握るかMBOで非上場化するのも一つのやり方である。資金的に難しいことではない。

10/15日経社説は本件について「合併延期で成長機会を逃すな」と一方的に経営側に肩入れする。日ごろ企業統治の重要性を説く日経にしては不可解な社説である。

朝日新聞
出光社長、僅差で再任 創業家が反対票 株主総会
2016年7月1日03時05分
28日の株主総会では、会社側が経営陣10人の再任を求める議案を出し、いずれも賛成多数で可決された。ただ、月岡社長への賛成は過半数をわずかに上回る52・3%。