企業統治

東芝の名誉回復は今からでも遅くない。委員会設置会社の機能を働かせれば問題は解決できる。

東芝は委員会設置会社に移行していた。事象だけを追うと何がおかしかったのか迷路に入りそうになるけれど、委員会設置会社として何をすべきであったか、特に監査委員会、指名委員会、報酬委員会の働きを検討することによって見えてくるものがある。 7/28日経…

東芝 昔のCEOの影響力

東芝の不正会計問題は、企業統治が形骸化していたという見方に収斂しつつある(下記、読売新聞社説)。これに対し、WSJは、日本企業のボードには、既に10年以上前に退任した東芝の西室元会長を例にして幽霊が徘徊していると皮肉る(下記、WSJ記事)。日本の…

東芝の不正会計 指名委員会は動かないのか

東芝は現社長、前社長が自発的に退任するようだ。これでは不適切な判断・指示に個人が責を負うということで、企業統治を働かせた結果ではない。形式的かもしれないが、辞任届けは指名委員会の預かりとして、指名委員会が全取締役の解任、留任を決定する形が…

東芝の企業統治は日本企業全体のお手本である

取締役会VS社長、前社長・元社長の関与、バークレイズのCEO交代、東芝が揺らいでいる。不正会計だけでは、会計上の数値だけで企業実態は変わらないのだが、2,000億円規模の資産売却、5,000-6,000億円の資金枠要請などが報道されると、キャッシュ・フローが急…

ソニーの増資 日本の製造業としては過去最大

ソニーは6/30に公募増資で3,200億円、転換社債で1,200億円の資金調達を行うことを発表した。6/23の定時株主総会からわずか1週間。株主総会では増資をほのめかすものはなかった。増資資金はセンサー事業の投資、研究開発に充当し、併せて借入金返済にも使う。…

企業統治の形態と会計基準の乱立

改正会社法により、上場会社は企業統治のあり方として、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社を選べるようになった。3種類の企業統治の形態に加え、会計報告の基準には4種類(日本基準、米国基準、国際会計基準、修正国際基準)が…

東芝株主総会、不適切会計の発端説明 監視委が検査

東芝の不適切会計は2月12日に証券監視委から報告命令があったが、「当初は、当局から開示検査を受けていることの公表を控えるよう要請を受けていた」ために、公表は4月3日にずれ込んだ。実に2ヶ月近く投資家は事情を知らされずに東芝株の売買を行っていたの…

東洋ゴムの偽装問題 社内取締役5名全員が辞任

偽装問題の引責で、社内取締役5名全員が辞任することになった。会長、社長、専務(以上、代表取締役)、常務2名の5名である。取締役7名中、2名の社外取締役を除く社内取締役全員である。問題となっている免震ゴム事業の売上高は7億円、東洋ゴム全体の売上…

日産による株式買戻しは空想的か

トヨタの種類株発行が関心を集めている。6/13日経にも、大機小機「種類株と経営者の覚悟」記恩、「株主総会2015」「トヨタの新型株、何が焦点?」「経営チェック、疑問の声も」など、他にも「ビジネスToday」「宝飾品のTASAKI」「ファンドから株買戻し」「ま…

シャープ 市場は復活を予想している 

単体の決算では債務超過となっているのに株価が190円ほどになっているのは、市場は将来的にプラスのキャッシュ・フローがあるとみなしているのだろう。 将来的にプラスのキャッシュ・フローがあるのなら、事業を解体してシャープを消滅させるのは下策である…

シャープ救済は官邸の意向

シャープの救済は官邸の意向であるという指摘がある。そうであれば、企業統治指針を云々してもしょうがない。企業統治指針をオーバーライドする政府による企業統治があるのだから。官邸は、シャープの破綻をアベノミクスの失敗と受け止められることを恐れる…

シャープの減資、資本金1億円へ 攻めの企業統治指針は機能しない

シャープは15年3月期に2,000億円以上の赤字を計上する見込みで、これに対して次の対策を検討している。 1. 資本金を1億円へ減資する 2. 三菱とみずほの借入金2,000億円をDESによって、資本化する。先週末の報道であったため、株価への反映は本日の寄り付きと…

大塚家具:取締役の義務と株主権

注目を集めた大塚家具(会社)の株主総会が終了し、社長が信任された。 これに伴い、大塚前会長(前会長)は取締役を退任し、代表取締役を辞任した(下記お知らせを参照)。会社が前会長の株主提案を受け取ったことを発表したのは2月17日。 会社は2月13日に…

相変わらずの大塚家具報道

3/8日経「大塚家具、攻防が本格化」「27日総会へ委任状争奪戦」 社長派の主張と会長派の主張を並べ、両者のビジネスモデルを比べ、株主の票の行方を占う。これでは、ジャイアンツとタイガースのどちらが優勝するかという予想記事と大して変わりはない。主要…

日経さんよ、そろそろ「社長に昇格」なんて言葉を使うのは止めたらどうかい

企業統治改革を提唱する日経が「社長に昇格」なんて、社内の人事異動みたいな言葉を使うのは時代錯誤といわれるよ。本社社長に岡田氏昇格 喜多氏は会長に http://www.nikkei.com/article/DGXLASDL17H2A_X10C15A2MM8000/ 2015/2/17 17:00 日本経済新聞社は17…

企業統治論は無力なのか 大塚家具の場合

大塚家具が創業家の父と娘が対立するお家騒動に揺らいでいる。 2/26日経は、「委任状争奪戦へ」「社長解任を株主提案、幹部らの賛同得た」と報じる。企業統治論ではこの父娘の経営権を巡る抗争をどのように解決できるのか。2/26大機小機「企業統治指針の意味…

機能しない取締役会 仏作って魂入れず

改正会社法では、いわゆるcomply or explain原則を導入し、独立社外取締役の選任について、選任しない場合、「相当の理由の説明」を求めることになった。この制度に実効性はあるのか、そして日本の上場企業に根付くのか。 その回答は、独立取締役の選任が広…

ソニー復活の日と企業統治

ソニーは2009年3月期から15年3月期までの7期中6期が赤字計上。とても上場営利企業とはいえない惨状である。ソニーに限らず、パナソニックやシャープも酷いことになった。その前には日立もおかしくなった。富士通やNEC には以前の面影はない。揃いも揃って愚…

企業献金:社外取締役はどう判断するか

経団連は自民党への政治献金を再開するようだが、今話題となっている企業統治の面から政治献金はどのように取り扱われるのか。 経済学者である社外取締役: 今日の大機小機「健全な資本主義と献金の矛盾」カトー氏。「経団連は健全な政党を支援するのは社会…

7/2日経 一目均衡「株主主権論からの卒業」

新しい企業統治モデルの提案かと思わせたが、旧来の日本型統治モデルへの回帰への主張であった。主張のベースは株主の権限を制約せよということで、「株主権を神聖視」するのはやりすぎではないかと問う。なぜなら、株主は「責任限定で売却が前提の投資家は…

米企業統治:スプリントとディッシュのクリアワイヤをめぐる争い

6/19日経「スプリントVSディッシュ」「クリアワイヤなぜ争奪」「周波数多く活用の余地」こじれてすぐには分からないがディッシュがこの取引に付け入って何とか利益を引き出そうとしているのではないかと思われる。それもアメリカ資本主義のアニマル・ス…

川重の社長解任劇

6/14日経によれば長谷川社長の解任が取締役13人(全員社内取締役)中10人の賛成で決まった。6/15日経では続報として、社内の社長解任に至るまでの動きを報じている。日本企業に時折見られるお家騒動の根源は社内の主導権争いであることは川重の例を見ても…

シャープの経営再建は成功するか

5/15日経「シャープが中期計画」「液晶再生道険しく」「新経営陣発表 前期最終赤字5,453億円」シャープがいよいよ最終章に向けて動き出した。 目玉は人事で、高橋副社長が社長に就き、代表権が高橋社長に集中される、奥田社長、片山会長、町田相談…

会社は株主を選べるか、西武とサーベラスのTOB をめぐる対立

西武とサーベラスのTOB をめぐる対立は、会社は株主を選べるかという古くからの問題を蒸し返している。英米流で割り切れば、会社は株主のものだから会社が株主を選ぶというのはとんでもない話になる。ところがこれが日本の企業社会になると、企業の社会的…

縮小均衡に陥ったシャープ

9/12/12 シャープ:何を残すか シャープは縮小均衡のスパイラルに陥っている。このままでは会社そのものが消滅することさえあり得る。どのような方向へ進めるのが良いのか。今日の日経の記事からの引用。 9/12/12日経 「給与削減幅7%に拡大」「シャープ、冬…

オリンパスの上場維持

オリンパスの上場維持1/21日経は次のように報じている。 東京証券取引所の自主規制法人は20日に開いた臨時理事会で、オリンパスの上場維持を決めた。調査の結果、決算を訂正しても上場廃止基準には触れておらず、本業の利益は偽っていなかったと認定。「投資…

オリンパス マイケル・ウッドフォード氏 委任状争奪戦から撤退

マイケル・ウッドフォード氏が委任状争奪戦から撤退した。彼の意見表明は末尾に掲げる。彼の撤退理由は国内機関投資家の賛同が得られず勝てる見込みが立たなかったからである。それを次のように表現している。 Of course the major reason for the continuin…

企業統治における「経営の透明性」とは何か

12/8 日経「社外取締役 義務化も」「法制審中間試案 大企業対象に」(一面および総合面)日経はよほど「経営の透明性」がお気に入りらしく記事の中で四度もこの言葉が登場する。改正案の内容は、企業法務ナビによれば次のとおりである。 http://www.corporate-legal.…

12/7 オリンパス 高山社長記者会見

12/8/11日経一面「オリンパス役員 総退陣へ」 報道の要旨は次のとおり。オリンパスは7日、損失隠し問題に関する第三者委員会の報告を受けて高山修一社長が記者会見し、現在の役員全員が退任する意向を表明した。来年2月中にも臨時株主総会を開き、経営体制を…

オリンパス ウッドフォード氏の取締役辞任 臨時株主総会開催へ

今日(12/1木)のニュースでウッドフォード氏が取締役を辞任することが報じられた。幸い、氏によるプレス・リリース(末尾に掲載)が発表されているのでそれを参照する。 リリースの後半のところで氏は次のように述べている。However, in the absence of a s…