セブン社長交代案を取締役会は承認せず、社外取締役ら反対

取締役会は15名で、うち社外が4名。投票の内訳は、会社提案への賛成が7、反対が6、白票が2であった。4名の社外取締役が反対したとしても、社内取締役の2名が反対し、他の社内取締役2名が白票を投じたことになる。

これでは鈴木会長は身を引かざるを得ないだろう。

この内紛劇に、日経は取締役会が機能して企業統治改革が進んでいると評価している。

このような取締役会内部での権力闘争は、日本企業に昔から見られた古典的なものである。特に企業統治の新しい局面に入ったとはいえない。

鈴木会長に経営上の誤りがあったともみられない。指名委員会が決定していないのに取締役会に人事案を提案したことが指摘されるが、7&iは監査役会設置会社で指名委員会は会長への諮問機関である。企業統治を逸脱したのではない。鈴木会長は企業統治改革が前進しているという見せかけのためのスケープゴートなのか。殉教者であったのか。

それよりも驚かされるのは、創業家の伊藤雅敏名誉会長が、10%保有する支配株主とはいえ、強い影響力を発揮したことである。
長老が影響力を行使する弊害は、先の東芝問題で大きな教訓になったばかりだ。企業統治が進化したと持ち上げるのではなく、古めかしい日本的経営の残滓を批判する見識が必要なように思われる。日経はこの動きにむしろ肯定的であって、警鐘を鳴らすことはしていない。

セブン社長交代案を否決 社外取締役ら反対
2016/4/7 13:02日本経済新聞 電子版
 セブン&アイ・ホールディングスが7日午前に開いた取締役会は中核子会社、セブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO、58)を交代させる人事案を否決した。社外取締役を中心に複数の取締役が反対した。セブン&アイは近日中に臨時取締役会を開き、再度人事案について話し合うとみられる。

 7日の取締役会では井阪氏を交代させ、後任に古屋一樹副社長(66)を昇格させるセブンの社長交代を含むグル…