出光増資、地裁 増資認める

出光が発行済株式の約3割に当たる4,800万株を公募増資で発行し、1,200億円程度を調達する。これに対して創業家(大株主)は持株比率が33.92%から26.00%程度に低下することから新株発行を差し止める仮処分を申請していた。

地裁の判断は次のようだ(7/19日経)。
・支配権を巡る実質的な争いで自らを有利な立場に置く目的が存在したとして、この目的自体は不当とした。
・製油所建設の投資資金の調達は、必要性・合理性は認められない。
・シェル株式購入の借入金返済については、必要性・合理性を認めた。

以上から、地裁は総合的に判断して、著しく不公正な方法による発行ではないとして創業家の求めを退けた。

ここに至る経緯に疑問がある。
・本件は経営者による大株主への反乱である。一年前に大株主によって会社提案の合併の提案が否決された。ここに至るまで経営者は大株主を説得できなかったのであるから、経営者は退任するのが分かりやすいけじめのつけ方であった。株主総会で50%以上の信認を得ていること(61.1%の賛成)が正当性の根拠なのであろうか。40%近くが賛成していないということも事実だ。最近の株主主権重視の流れからもすんなりとは受け止められない。
・大株主はこの流れは予測できたのであるから、16%ほどを買い増しして大株主の意向を実現する経営陣を選任することはできた。なぜ、大株主は動かなかったのか。

(追記)7/19 高裁は大株主の即時抗告を棄却した。創業家最高裁に持ち込まない。