電力:東西の融通

12/8日経「電力、東西の取引3倍」「経産省、15年に境界越えた競争促す」

経産省は電力市場での競争を促進するために、電力融通システムを拡充して東西の境界(50Hzと60Hz)を越える電力取引を拡大する。

競争促進という美名はあるものの、電力融通システムが競争的かは疑問である。
1. 融通システムが高水準で利用されることは考えにくい。電力は、消費地で発電されるのが最も効率的であるから。
2. 融通システムの現在の能力120万kW時のうち、予備容量(夏と冬は80万kW、それ以外は65万kW)を撤廃して常時120万kW使用できるようにする。次に90万kW時の設備を新設する(後記引用記事参照)。中期的には融通能力を300万kW時に引き上げる。90万kW時の設備の新設コストは1,320億円から1,410億円と見積もられる。東西に新鋭発電設備を増設して、既存設備を予備設備としたほうが安上がりのように思える
3. 融通システムを拡充することは、既存電力事業者の設備稼働率を高め、結果として9電力会社体制を維持することになる。新規事業者にとってハードルとなる。
4. 融通システムを拡充することによって、東西の境界(50Hzと60Hz)が固定化されることになる。例えば、100年計画で全国を60Hzに統一するほうが、電気製品や設備のコストを安くすることができ、経済にメリットがある。

SankeiBiz「電力9社、東西の連携強化 周波数変換設備を増強へ」
2013.1.24 06:30

電気事業連合会経済産業省の研究会で、東西間で電力融通する際の周波数交換機能の増強方針を説明。既存送電線の状況などから、複数の増強案を示していたが、東電新信濃変電所(長野県朝日村)の周波数変換設備を、現在の60万キロワットから150万キロワットに増強することを決めた。
(中略)
信濃変電所の増強により、東西間の電力融通能力は、Jパワー(電源開発)の佐久間周波数変換所(静岡県浜松市)の30万キロワット、中部電力の東清水変電所(静岡県静岡市)が今年2月までに増強する30万キロワットと合わせ、計210万キロワットとなる。

送電線敷設を含む新信濃変電所の工事費用は1320億〜1410億円を見込む。

費用は電力9社が負担し、運用開始以降は原価として電気料金に盛り込まれる。