敦賀原発:稼動かさもなくば廃炉という二者択一

12/12日経「敦賀原発直下 活断層の可能性」「日本電源、根拠が不十分」「規制委に公開質問状」
原子力規制委員会の評価会合の2号機の真下に活断層が通っている可能性が高いとした統一見解について、日本電源が反発している。


規制委員会の統一見解の公表にはなぜ今なのかという疑問。

  • 脱原発が争点となっている今回の国政選挙のさなかに発表したタイミング。否でも政治的思惑を感じさせるタイミングである。
  • 規制委員会人事は国会の同意人事であるのに、今の委員は首相権限による指名である。そのようなメンバーが出来ることには自ずと自制的でなければならないのに、企業の生死を事実上決める見解を示してよいものか。政権交代があったときの規制委の判断の継続性はどのようになるのだろうか。
  • 規制委員会が電気事業者に原子炉の運転停止や廃炉を命令する権限はない。日経は、「規制委は来年7月から原発に最新の安全対策を課し、規制委が活断層の影響を認めれば運転停止を命じられるようにする」と報じている。

  これについて、東京新聞は次のように解説する。

12/12東京新聞政権交代、人選で変更も 規制委」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012121202000119.html
活断層の上に原発の重要施設を造ることを禁じる規定は、法令そのものにはない。原発を規制する法律は原子炉等規制法で、それと一体的に運用されているのが、旧原子力安全委員会(廃止)が決めた耐震設計審査指針。禁止規定は、指針を解説する形の手引を読んで初めて「活断層の真上に重要施設を設置することは想定していない」との記述を見つけることができる。

 法律に関連する手引のため、合わせて読めば「禁じられている」と解釈できるが、強制力となると怪しくなってくる。
規制委も法的な根拠に乏しい問題は認識しており、専門家チームで新しい安全基準を検討している。素案には活断層上の原発禁止規定が盛り込まれ、来年七月には、この基準が委員会規則として法令化される予定だ。(中略)
 
ただし、中身の議論はこれから。既存の原発活断層が見つかった場合の対応や、活断層と判断する具体的な基準、直下でなくとも活断層の危険が高いと判断される場合の対応など明確にすべき点は多い。

  • 活断層の基準が変わってきていることを日経は次のように伝える。民間企業は国の基準の変更に対応できるのか。補償措置も検討されねばならない。「敦賀1号機の設置許可が出た1966年には浦底断層が学術的に活断層と認知されていなかった。78年に作られた旧耐震指針は5万年前以降に動いた断層を活断層としていたが、2006年に12万〜13万 年前以降に変更。さらに規制委は40万年以降に広げる意向だと。
  • メディアは、稼動かさもなくば廃炉という二者択一的な報道であるが、それ以外の第三の道はないのか。
  • 野田首相の政治的利用。最初から原子炉を悪魔のように決め付ける議論は科学的なものとはいえない。

12/12日経 敦賀原発活断層「自民政権に責任」 首相
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS11018_R11C12A2000000/
 野田佳彦首相は11日、千葉県市川市での街頭演説で、原子力規制委員会の評価会合が日本原子力発電敦賀原発2号機の直下に活断層がある可能性が高いと判断したことに関して「断層の話は1970年代から指摘されてきた。同2号機を法律に基づいて設置許可したのはどの政権だったのか」と述べた。同原発の設置を認めた自民党政権に責任があるとの認識を示した発言だ。

 首相は「事業者任せにしてこういうものをつくってきた。活断層ではないかとの見通しが見えてきたのは民主党政権になってからだ」とも強調した。ただ、再稼働の判断は「最終的には規制委の本体会合の議論で決める」と述べるにとどめた。