原発事業:縮小均衡への道筋

日立、東芝と東電、中電の4社は、原子力事業の提携を協議することになった(8/22日経)。福島以降安全対策コストがかさみ「最早民間事業者1社で原発事業は担えない」からだ。加圧水型を手掛ける三菱重工と関西電、中国電などにも動きがあれば、将来的には2陣営に集約されることになる。

福島以降、未稼働の原子炉は東電に11基、中電は5基ある。7年間の間一銭も入ってこなかった設備は、減損処理されるべきなのであろうが、減損処理は行なわれていない(注)。

これまでにも、複数プレーヤーがいて、何社かの存続が危ぶまれる時には、統合・集約によってプレーヤーの数を減らすことが行なわれてきた(縮小均衡のプロセス)。
このプロセスが、原子力業界にも及んできた。
原子力発電はベースロード電源の看板は下ろさないものの、事実上退役に向けた動きが出てきた。日本らしい少しずつ後退する手法である。

(注)平成28年10月19日資源エネルギー庁の公表した
「自由化の下での廃炉に関する会計制度の論点」により、次のような処理が行なわれている。
具体的には、2013年の措置のみでは、一部の資産等が対象となっていないため、財務・
会計上の影響が大きく、事業者が廃炉判断の先送りや運転を継続する判断を行うなど、
事業者の合理的判断を歪め、廃炉が円滑に進展しない可能性があった。
 この課題を解決し、廃炉判断を円滑に進める観点から、 2015年に追加的な措置を講じ、
資産の残存簿価、核燃料の解体費用等、廃止措置資産の対象とされなかった廃炉
伴って一括して発生する費用を、10年間で分割して償却することを認め、分割された償却費用を小売規制料金の原価への算入を認めることとした。