再生エネルギーによる発電能力

8/31日経・「洋上風力、地熱、バイオス、海洋 2030年に6倍」「発電能力の1割」

新たな展開があるように見えるかもしれないが、実態はお寒い限りである。

再生エネルギーの新しい目標(単位:万KW)

- - 2010年度実績 20年 30年
1 洋上風力 3 40 803
2 地熱 53 107 388
3 バイオマス 240 396 600
4 海洋エネルギー 0 0 150
- 296 543 1,941
- 全体に占める割合 1% NA 10%

上の表から逆算した太陽光の占める割合

- 原発比率 2010年度実績 30年 再生エネルギー全体の割合
- 水力の比率(注) 9% 10% -
- 太陽光の割合 - - -
1 原発0%のケース - 15% 35%
2 15%のケース - 10% 30%
3 20-25%のケース - 5-10% 25-30%

(注)立地上の問題からこれ以上水力は増やせないと仮定する。

エネルギー・ミックスについては、経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が3の選択肢を提案しているのであるが、結局、大きな項目である再生エネルギーの内訳すらこれまでに発表されることはなかった。ようやく、日経の報じるように環境省が新目標を取りまとめたのである。「基本問題委員会」の提言とは単なる思い付きであったのかと疑いたくなる。

上の表からも分かるように、現下の技術水準では再生エネルギーの電源比率を画期的に上げることは出来ないということで、20年以降の技術革新に期待するという画餅でしかない。そして、しわ寄せは太陽光に向けられるのであるが、皮肉なことに8/31日経一面の報じるところでは、トクヤマや昭和シェルは太陽光発電関連設備の減損処理を余儀なくされているという。原因は、中国メーカーの攻勢により国産メーカーはコスト面で太刀打ちできないからだ。そういえば、シャープも太陽光で大幅赤字を計上していると伝えられる。つまり、国民が歯を食いしばって高い電力料を払っても、多くは中国メーカーを潤すという結果になってしまう。これは新たな展開ではなく、アメリカやドイツで証明済みの結果を後追いしているだけである。それでも、太陽光に執着するのは謎である。

もう一つは、太陽光が10%を超えてくると、太陽光の稼働率はどんなに良くても50%にしかならないということである。バック・アップ電源が必ず必要になる。そのコストは、太陽光賛成派が負担してくれるのだろうか。