8/5日経「北海道、冬に10%節電」「泊再稼動見込めず」

8/5日経「北海道、冬に10%節電」「泊再稼動見込めず」「政府方針」「暖房・融雪に影響」

政治状況からは、このようなことになるというのはあるのかもしれないが、責任ある政治家の判断とはいえない。反原発デモと党内反対勢力を恐れて立ちすくむだけでは、この政治家にこの国の運命を託したいという気持ちはなえてしまう。ましてや、「再稼動の是非は政府が9月に設置する原子力規制委員会が新しい安全基準を定め、それ基に判断する。新基準の作成は“年内は難しい”(経済産業省幹部)との声が大きい。政府では再稼動の手続きは今冬には間に合わないとの見方が強まっている」というのは、政治家の不作為を自分たちの進め方が遅れたことを理由としているのだから、見苦しいというか、それは無いだろうと言いたくなる。

ところで戦術として節電は有効なのだろうか。ピーク時シフトが使える関西と異なり24時間冷凍庫に閉じ込められる北海道ではほとんど節電は役に立たない。灯油で暖を取ればといっても、道路の凍結を電気で温めるのだから道路が凍結して灯油の供給が滞りそうだ。それでも節電を前面に出すのは、それ以外に手段が無いことを白状しているようなものだ。

それよりも大きな問題は、大飯の時は、「必要だから再起動する」と言い放った。つまり、北海道の場合は必要ではない、あるいは、北海道の人には電力を供給しなくても良いといっているのである。行政の裁量権の中でこの違いが許容されるとしても、政治的にはこの違いがなぜあるのか、首相には説明責任がある。同じ国民として同じ権利があるはずなのに、どうして違う扱いになってしまうのか。

解決は簡単である。暫定的に(12月から3月)の期間中、泊を動かすのである。暫定期間終了後は、原子力規制委員会の新基準に添って再稼動を決めればよい。大飯の時も、暫定的な稼動の提案があったがそれは政府に無視された。結局政府は、白か黒でしか判断しないからその間の灰色のところで現実的にやろうという考えは出てこない。ポスト3.11の論理構成、レトリックについて核となるものが定まっていないというべきだ。