原子力規制基準

6/20日経によれば、新規制基準は次のようだ。

原子力規制委員会は19日、原子力発電所の新しい規制基準を決めた。7月の施行後、規制委は基準をもとに全国の原発の安全性を評価し、ふるい分ける。従来の規制が想定していなかった規模の事故が起きても、放射性物資をまき散らす最悪の事態を食い止める対策を義務付けた。各電力は基準をクリアするための原発の改修を急いでいる。

新基準そのものは規制委員会のHPを見てもはっきりとしない。省令の改正案を個々に見ていけば良いのかもしれないがそんな余裕は当然ない。今年2月に公表された「原子力規制委員会及び新安全基準骨子案の概要 平成25年2月」のようなものがあれば便利なのだが。


6/20日経の特集記事「原発の新規制基準」「津波地震 多重の備え」に沿ってその内容を概観する。


気になるのは今回の規制基準はハードだけに偏重していて、電力会社がそれをどう運用していくか、運用の有効性をどのように確保するかなどのソフト面が全く等閑視されている。それはすでに別に決められているので今回新たに取り上げる必要はなかったということなのか。また、過酷事故が起きたときに電力会社、規制委員会、政府どがどのような関与をするのかという行動計画がないのもよく分からない。

今回の規制基準では、事故への対応として(1)地震対策 (2)津波対策 (3)火災対策 (4)テロ対策 を掲げ、それでも過酷事故が起きた時は (5)最後のとりで を掲げて万全を期す。


(1)から(4)は蓋然性の高いものを掲げたのでしょう。ここに掲げられなかった最大のリスクは人的エラーである。スリーマイルでもチェルノブイリでも原因はヒューマン・エラーであった。福島第一も人的エラーがなかったとはいえない。


人的エラーは事前に想定するわけには行かないので、起きてしまった場合は止むを得ないとして(5)で最悪の事態を回避するということなのだろうか。ただ技術的には危険な操作をすればそれを無効にすることは可能で、それを極限まで絞り込んだ結果として百万年に一度あるかもしれない人的エラーだけが残されているということなのかな。そこまで人間の無謬性を確信するのも楽観的過ぎるように思えるけど。