有権者をミスリードする脱原発論

世界最大の太陽光発電メーカー「サンテックパワー」(中国)の経営がおかしい。
中国株式市場上場の太陽光発電メーカー全体の第3四半期の売り上げが100億元未満に対し、在庫は500億元である(下記に関連ニュースを引用)。経営のミスではなく、太陽光発電の需要が消滅しているからだ。これまで各国は補助金や家計への負担で太陽光発電を推進してきたが、結局採算の合わないものは持続できないという当然の原理で失速しているのである。

民主党の当初考えていた今後のエネルギーミックスは、再生可能エネルギー35%(現在は10%弱)、火力50%、原子力15%程度だったが、30年代に脱原発であるなら、再生可能エネルギーは35%以上ということだ。そしてその増加分のほとんどが太陽光発電になる。

民主党は、結果として、世界中でごみのようにみなされつつある太陽光パネル中国企業を救済するためせっせと購入し、国民に世界一高い電力料を押し付けることになる。
当然民主党の中でもそんなことに気付いている人はたくさんいると思うけれど、それを言い出すと30年代に脱原発なんていえなくなるから黙っている。


選挙スローガンとしては維新のフェード・アウトが優れている。これは原子力の自然死を意味する言葉である。原子力以上に効率的なエネルギーを開発しようという意味が込められている。だから石原維新代表と松井一郎大阪府知事の間で意見の違いがあるように報道されるが、実はそんなに違いはないのだ。

野田首相は維新が「毎日言うこと違う」と批判するが、それぐらい決定的なことを今決めることは出来ない。出来もしない太陽光発電に依存する脱原発を毎日ぶれずに繰り返す民主党のほうがよほど無責任だ。最低でも県外、というのと違いは見出せない。

11/26/12 JBPress 
中国の太陽光発電業界は万策尽き果てるのか
供給過剰に追い打ちをかける欧米市場からの締め出し
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36610
中国の経済メディア「証券市場周刊」もこう警戒する。「2012年第3四半期には、A株上場66社(注:上海・深センの株式市場にはA株とB株がある。A株は基本的に外国人投資家が取引できない)の太陽光発電企業の在庫は500億元にも膨らんだ。その一方で、売上高は100億元にも満たなかった。サンテックが拠点を置く無錫市でも、上半期の営業収入は200億元足らずと、前年同期の4分の1に減少した。太陽電池メーカーの大全新能源や晶澳太陽能などの太陽光発電関連メーカーも、NYナスダック市場から上場廃止の警告を受けている」