電力会社に二重のしばり

5/21の福井地裁の判決(下記に引用した日経の記事)は、電力会社にとって頭の痛い問題である。原子力規制委員会の審査をパスしても、司法のほうからストップがかかるのではやりきれない。

とはいえ、5/23日経社説のように、判決は非科学的だとか、規制委員会の規制基準は重大事故を防ぐのだからこれに従えとか、電力の安定供給を考えろというのも筋違いで人々を納得させるものではない。

原発都知事候補、反原発組織を立ち上げた元首相、美味しんぼ騒動そして今回の福井地裁の判決など、人々は国の原子力政策に不信感を抱いていることに正面から向き合う時が来ているように見える。

政治による不作為がいつまでもこの問題を収束させない。

政府は原子力発電のリスク評価・管理について、世界一厳しい規制基準に委ねていると逃げるのではなく、見解を明らかにして許容できる範囲内でセーフ・ハーバー・ルールを設けることを検討しても良いのではないか。規制委員会の審査あり方についても、オールオアナッシングではなく、仮免1、仮免2のように段階的にハードルをあげていく方式を考えるのが良いのではないか。
それも受け入れられないなら、高い電力料と貿易赤字国民の選択として甘んじて受け入れるしかない。

5/21/14 日経
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK21020_R20C14A5000000/

大飯原発の運転差し止め、福井地裁判決 再稼働厳しく
2014/5/21 15:24
 東京電力福島第1原発事故後、安全性の保証をせずに大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させたとして、福井県の住民らが関西電力に運転差し止めを求めた訴訟で、福井地裁(樋口英明裁判長)は21日、現在定期検査中の2基を「運転してはならない」と命じ、再稼働を認めない判決を言い渡した。福島事故後、原発の差し止めを認める判決は初めて。