川重の社長解任劇

6/14日経によれば長谷川社長の解任が取締役13人(全員社内取締役)中10人の賛成で決まった。6/15日経では続報として、社内の社長解任に至るまでの動きを報じている。

日本企業に時折見られるお家騒動の根源は社内の主導権争いであることは川重の例を見ても明らかである。お家騒動はどこの国にでもあるのだろうが、日本企業のそれが欧米の視点から見ると奇異に映るのは、取締役=経営者という枠組みの中で株主の利害は全く考慮されることなく、社内取締役の主導権争いだけが全面に、時に劇的に噴出してくることにある。

統治体制の強化のために監査役会設置会社委員会設置会社があるが、改正会社法ではこれらとは別に監査委員会設置会社を設けるという。これに加えて社外取締役の選任を義務化する動きもある。

日本企業の統治体制がますます複雑怪奇な寄せ集めになってきているのは取締役=経営者という戦後から続くどうしても動かせない固定観念が厳としてあるからである。そこに手をつけず周辺だけをそれらしく取り繕うとするので奇妙な日本型統治体制が出来上がっていく。

取締役は何かという根本から考える本来のあり方に対して財界の抵抗は強いようだ。これからも日本型企業統治体制は独自の進化を遂げ、「瑞穂の国」の会社と称されることになるだろう。