シャープの経営再建は成功するか

5/15日経「シャープが中期計画」「液晶再生道険しく」「新経営陣発表 前期最終赤字5,453億円」

シャープがいよいよ最終章に向けて動き出した。
目玉は人事で、高橋副社長が社長に就き、代表権が高橋社長に集中される、奥田社長、片山会長、町田相談役など7人の取締役が退任する、みずほと三菱の主力行から取締役各1名が選任される。
奥田氏が取締役でない会長に退くそうだが、取締役でない会長とはよく分からない。


日経企業1面での高橋氏とのインタビューで高橋氏は、「確かに多くの投資をしてしまった。投資で生産力を上げコストで勝つ時代は終わりつつあったのではないか。私を含めシャープの誰もが気付いていなかった。彼らだけが個人で失敗したとは思っていない。私にももちろん責任はある」と率直に自らにも責任があったことを認めている。ここから高橋氏の役割は事業再生でないことが見て取れる。


今回の中期計画と人事異動の狙いは銀行の債権保全のためであって、これから半年ほどの動きが注目される。


今後のシナリオとして自力再建は難しいからスポンサーを探すことになるのであろうが、銀行側が産業再生機構に支援を求めるのは、債権保全を優先させてシャープの企業価値を高めることにはならないだろう。シャープが今ある経営資源を利用し、技術力を高めていくには日産型の再建が望ましいのではないか。それによって日産の技術と多くの従業員は守られた。資本注入だけでなく新CEO(高橋氏の次)に経営を委ねる覚悟を期待したい。それによって、シャープはグローバル・サプライチェーンによるグローバル生産方法を学べると思いたい。具体的にはホンハイと提携交渉を再開することである。しかも、この提携には追い風が吹いていて、シャープを高く売るチャンスなのである。過去52週の株価の高値:535円。同安値:142円。高値は昨日のもの。ここにもアベノミクスの御利益があった。これを見逃していては、株主の期待に応えるものではない。


今回の動きでは、経営陣と銀行が前面に出てきてやはり日本の企業社会の案件処理という印象は否めない。取締役会の動きはどこにも見えない。実質銀行管理下であるとはいえ、株式市場への働きかけでは株主の利益を代表する取締役会が機能しないのは日本型資本主義の思考様式や行動原理は根深いと思う。


今日の日経企業総合面では「物言う株主、企業に圧力」の見出しで、米投資ファンド、サード・ポイントによるソニーへのエンタテイメント事業の分離・上場提案や西武とサーベラスによるTOBについての協議が報じられていて見逃せない。いずれも取締役会をどのように機能させるかという論点である。