企業統治論は無力なのか 大塚家具の場合

大塚家具が創業家の父と娘が対立するお家騒動に揺らいでいる。
2/26日経は、「委任状争奪戦へ」「社長解任を株主提案、幹部らの賛同得た」と報じる。

企業統治論ではこの父娘の経営権を巡る抗争をどのように解決できるのか。

2/26大機小機「企業統治指針の意味合い」猪突によれば、企業統治の定義とは「透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」であって、「それぞれの会社において持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」を目的とする。猪突氏の定義と目的に従えば、大塚家具は娘である社長を支持すべきという結論になる。

ROE至上主義の日経なら、父と娘のビジネスモデルを比較してどちらがROE向上に資するかを判断すべきという結論になると想像する。

両者共にもっともらしいけれど、結論はすっきりしない。やはり、企業統治の理解がずれているのではないか。

上場企業の取締役会は、経営者や大株主、創業者などが地位を乱用して一般株主の利益を損ねることがない様一般株主の立場に立って経営を監視することが期待されている。

大塚家具の場合、一般株主はツンボ桟敷に置かれて父と娘が会社を私物化する泥仕合となっている。取締役会は父と娘に会長と社長からの退任を求め、上場会社に相応しい経営者を招聘すべきである。父と娘が大株主として取締役会の勧告に従わない場合は、取締役会は大塚家具は上場不適会社として上場廃止を決議すべきであろう(これをスマートにやったのが2/23の雪国まいたけ)。

大塚家具の取締役は、会長か社長に選ばれた人たちが多いだろうから本来の取締役会の機能は期待できそうもない。自浄能力がなければ取引所が勧告すべきなのであろう。