コロナ緊急事態宣言の延長;心配な安倍首相の認識と対策のずれ

5/5日経が伝える。

安倍首相は「現時点で感染者の減少は十分なレベルとは言えない」と現状の認識を表明した。

首相は、延長に伴う追加対策として、家賃負担の軽減、雇用調整助成金の拡充、学生への支援を掲げた。

 

わからないのは、感染者の減少を十分なレベルに下げるのに、追加対策にどれだけ効果があるかだ。文章通りだと、金はいくらでも出すから安心して感染してくれと訴えているように受け止められる。

 

日経の同面に「アナログ行政、遠のく出口」科学技術部長・青木慎一の記事がある。この記事で成功事例として台湾と韓国の例を取り上げている。すなわち、台湾では感染リスクのある人を素早く発見し、スマホで健康状態を監視した。韓国では、AIを活用し検査の大幅な拡大につなげた。

台湾と韓国では、コロナ感染の可能性の高い人をモニターする直接的手法である。

それが日本では経済対策によってコロナ感染を減らすという、チコちゃんに説明できない作戦を選ぶ。

 

日本ではPCR検査に目詰まりがある、という。それは、保健所などの職員が多忙すぎるからであると説明されている。

 

すぐにできそうな、誰にでも思いつきそうな方法を以下に記す。

  1. 保険所職員の業務フローを見直して、検査に専念できるようにする。

職員の業務には、電話で検査の受付や感染者から感染経路を聞き取っている。これらの業務をオンライン化したり、コールセンターへ業務委託する。データ解析は、飲食店の従業員などを臨時雇用する。検査に4時間、その他に4時間使っているとすれば、8時間検査に専念できれば、生産性は2倍になる。

まさか安倍首相は、感染者数を少ないように見せかけるためには検査を少なくすればよいと考えているのではあるまい。

 

  1. 3密の通勤電車をモニターする

専門家会議は「新しい生活様式」を発表した。トイレはふたを閉めて水を流すなど、思い付きとしかいいようのない提言が含まれる。

都会の通勤者が恐怖を感じるのは、3密の通勤電車に1時間ほど閉じ込められることだ。通勤電車から陽性の疑いのある人を排除できれば、危険は大きく下げられる。

東京の巨大ターミナル駅(東京、上野、池袋、新宿、渋谷)の改札口に検温モニターを設置し、体温の高い人を見つけ出すことができるだろう。

臨時雇用したスタッフに、疑いのある人に検査を勧め、電車に乗せないことができる。

 

青木記者は、スピード感に欠ける対応は霞が関の縦割り行政に問題があると指摘するが、本音は、危機に際して縦割り行政を打破できない政治に問題があると思っているのだろう。