緊急事態宣言が発令される、各地から宣言の申請 これからどうなるのか

誰が見ても、「先手先手」ではなく「後手後手」である。菅首相が追い詰められているということである。だが、首相を非難してもしょうがない。それが現実であるから、現実の中で最善手を模索するしかない。

 

統計学の教える所では、コロナについて天気予報のように先を読む材料がいくつかある。その一つが、感染者数と死亡者数の関係である。現在のところ、東京の死亡者数は、昨年に比べて大して増えていない。これで安心してよいのか。

統計学者は、第2波の例を引用して、感染してから重症化して死亡に至る期間にずれがあるから、そのずれを考慮して統計の数値を見なければいけないと教える。

そのずれとは、第2波の例から40日であるとする。そうなると、東京の感染者は年末から急増したので、今は低くても2月上旬には急増することになる。

40日の理由は、感染してから重症化するまでに、7-10日かかる。重症化して死亡するまで、3週間ほどかかる。その合計が40日であるとする。1月中に画期的な治療法、治療薬が出てこないと、これまでの例がそのまま当てはまることになろう。

2月上旬に注目である。

 

もし、菅首相が死亡者急増に慌てて下手な手を打ったなら、首相は統計の数値の意味を理解していないと評されよう。あるいは、人気取りのために何かしなければならないのかもしれない。菅首相が冷静に客観的な事実を語れれば、人々の不安は治まるだろうけれど、そこまでの発信力があるか。

 

(試算 2月中の死者は572名(31日換算は633)、12月は138名だった)

2月中の東京の死亡者数を試算する。簡便化のため、感染と死亡のずれを30日とする。

138(12月中の死亡者数)/9,850(11月中の感染者数)=1.40%(死亡率)

参考;90(1/1から1/15中の死亡者数)/7,040(12/1から12/15中の感染者数)=1.27%(死亡率)

2月中の死亡者数及び31日換算数

21,892(1/1から1/15中の感染者数)×1.40%(死亡率)×28/15=572(2月中の死亡者数)

633(31日換算数)>138(12月中の死亡者数) 4.58倍

 

(参考)

1. 9/22/20日経経済教室「統計学感染症、下」佐藤彰洋・横浜市立大教授

感染と死亡に40日のずれがあることを指摘。9月時点において、初動における封じ込めはできなかったと分析すべき。そのため、長期的見た場合、最終的には日本国民全員が感染するというリスクシナリオについて、今から検討が必要である。

全員が感染した場合、総労働人口6,655万人のうち、132.4万人(1.98%)が失われる。これに女性、老人、子供が加わるから単純に経済に2%以上のマイナス要因になる。

 

2. 9/21日経経済教室「統計学感染症、上」竹村彰通・滋賀大学教授

PCR検査で、政府の資料では偽陰性率(見逃し)は30%、偽陽性率(誤検出)は1%と仮定している。偽陽性率はともかく、偽陰性率が30%では「陰性証明書」の信頼性は低い。政府は13日からすべての入国者の陰性証明の提出を求める(1/13日経)が、これでは水際対策のザルの目は荒い。

接触確認アプリ・ココアについて、日にちは通知されるが、時間は通知されない。時間情報があれば、通勤時間に感染したかどうかがわかると竹村教授は指摘する。

現在発表される感染経路は、家庭内が50%強であるが、家庭にどこから持ち込まれたかは分からない。飲食や職場は10%前後であるから、残りは通勤中である可能性が高いが、不明である。時間情報があれば、ココアはもっと利用されるのではないか。