ヤフーとラインの統合、収穫逓増企業は規模を拡大する必然性がある

11/14日経「ヤフー・ライン統合へ」「米中の巨大IT追う」

新会社を設立して、ソフトバンク(SB)とネイバーが50%ずつ出資する。新会社がZHD(現在のヤフーの親会社)を子会社化して、その下にヤフーとラインがぶら下がる。

 

 

ヤフー

ライン

売上、億円

9,547

2,071

従業員数

6,515

2,269

月間通信利用者数 百万人

50

82

スマホ決済登録者 百万人

ペイペイ19   

  ラインペイ36

11/13時価総額、兆円(発表直前)

1.8

1.1

親会社持株比率、%

SB 45

ネイバー 73

親会社の持分、兆円

0.8

0.8

新会社への持分、兆円(注)

0.8

0.8

(注)1.8+1.1=2.9 1.8×0.55+1.1×0.27=0.99+0.297=1.3(浮動株の時価総額

   (2.9-1.3)×0.5=0.8

プレミアもディスカウントもない、まさに対等な統合である。このことにより、どちらが話を持ちかけたかは、判断できない。何かの機会に話がそういう方向(スピードと規模だよね)へ向かったのかもしれない(注)。

(注)11/15日経「この夏に川辺健太郎・ZHD社長と出沢剛・ライン社長が会合を重ねた」、と報じている。

 

収穫逓増のIT企業にとって、規模を拡大することを目指すのは必然である。素早く大きくなって、市場を押さえれば「勝者総取り」を実現できる。孫社長の行動原理でもある。

 

このような企業を規制するのは、独占や寡占を悪とみなす独禁法では、規制しきれないだろう。出る杭を打つことになりかねない。収穫逓増企業の存在を受け入れて(寡占や独占は必ずしも悪ではないと認識を変える)、競争的な環境が維持され、個人情報や取引先を保護する枠組みを新たに考察する必要がある。