産業政策としての高等教育無償化

改憲項目として相応しいのか以前に、多額の国費を投入する高等教育無償化はペイするのかを検討しなければならない。

私立大学の44%が定員割れしていて、高等教育には年3.1兆円の財源が必要とされている(6/8日経社説)。

無償化することによって大学の入学者が増える。彼らにとって4年間のモラトリアム期間を考慮しても生涯所得が高卒であった時より多くなることがインセンティブになる。学費分を稼ごうという意欲はなくなる。
また彼らの所得が増えて納税や社会保険料の納付が3.1兆円以上となる必要がある(利子を考えればもっと多くなる)。

44%の私立大学にとって入学者が増えれば、定員割れを回避できる。社会的存在を疑問視されていた大学が国費の投入で生き延びることになる。供給者側に甘い安倍首相は供給過剰の大学の救済が本来の狙いであるように思える。
どのようなリターンがあるかを推測すると、加計学園は無理なのではないか。ボーダーラインにあるのは成蹊大学か。学校ビジネスは旨みがあるようだ。本来ペイしない事業でも補助金や役所の甘い査定で延命する。松友学園だけでなく群がってくるわけだ。