親子上場の利益相反 ルノーと日産の場合
国境を越えた親子上場の利益相反があらわになっているのがルノーと日産の膠着である。
この問題を解決する一つの切り口は、少数株主ファーストの観点である。
5/28日経が伝える各社の株式時価総額を参照して、この問題を考えよう。
|
日産 |
||
時価総額、兆円 |
2.7 |
1.8 |
3.1 |
日本政府は、1はとんでもないと反発しそうである。
ルノーが新株発行により日産株式を取得するとして、統合後の新ルノー会社の株主構成を試算する(株数と時価の比率は一致しないが、時価を近似値として試算する)。
ルノーは日産株の残り57%をルノーの新株発行で取得する。プレミアムを考慮しないと、新株発行額は1.7兆円。新ルノー社へのルノー株主の持分と日産株主の持分は拮抗する。わずかでもプレミアムを上乗せすると、日産株主>ルノー株主となって、日産株主が新ルノー社を支配することになる。まさに名を捨てて実を取ることになる。
この場合、日産取締役陣は日産少数株主のためにプレミアムを最大化することが使命となる。
ルノーがこの案に賛同しない場合は、日産が28%を買い戻す。必要資金は、0.5兆円。日産の財務力なら実行可能である。友好的なファンドを取り込むことも可能である。
両案とも実行可能で、国境をまたぐ利益相反が解消されることになる。しかも1であれば、Buy My Abenomicsと宣言した安倍首相の面子が立つのである。