「貯蓄から投資」は成り立つのか

時期は異なるが、株式市場は株主に資金を払い戻す場になっている。そんな流れの中で、「貯蓄から投資」は成り立たない。証券界の願望でしかない。新たな株式市場の在り方を考察するときである。

 

増資(2021);3.7兆円

配当(21年3月期):12.3兆円

自社株買い(21年4月-22年3月);8.1兆円

単純に合算しても、ネットで16.7兆円が株主に払い戻されている。増資から自社株買いを差し引いても、自社株買いが4.4兆円上回る。

 

12/27/21日経 上場企業の増資が活発だ。2021年のエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)額は前年比3倍の3兆7000億円超となる見通しで、金融危機後の10年以来11年ぶりの高水準となる。新型コロナウイルス禍で傷んだ財務の改善に加え、成長資金を確保する動きもあった。金融緩和に支えられた側面も大きいだけに、米国で利上げが見込まれる22年は企業の資金調達環境も変わる可能性がある。

 

9/22/21日経今期配当、最高の12.3兆円

上場企業が株主への利益還元を拡大する。2022年3月期の配当総額は12兆円超(市場予想含む)と前期から1割増え、3年ぶりに過去最高を更新する見通しだ。需要の持ち直しや市況好転を背景に、海運や電機などの製造業で7月以降に利益予想を引き上げる企業が目立つ。

 

4/3日経 自社株買い7割増

自社株買いの枠は8.1兆円と前年度に比べ68%増えた。リーマン後の最高だった19年度の7.8兆円を上回る。件数も同67%増の994件だった。

 

3/19大機小機「金融教育、重要になった背景は」玄波

家計がリスク資産に直接資金をシフトさせるべく、銀行預金以外に運用を多様化させる「貯蓄から投資」の必要性が生じる。そのためには指針となる一定の教育も不可欠になる。