生産拠点海外移設後の経済政策は、旧態依然

日本企業は為替変動に対応して海外に生産拠点を移設した。

 

この結果、日本経済は輸出主導から内需中心の経済に変わった。

ところが政府や日経の経済政策の考えは、少しも変わらない。

成長がなければ分配の原資がない、と。内需を弱くする政策には無頓着だ。

 

経済の主役となった内需、特に消費を支えることが肝要だ。

11/9日経「The Economist」は、米国経済、消費主導で回復底堅く、と伝えている。

アメリカは、教科書通りの展開だ。

金融緩和・財政支出→需要拡大→供給逼迫→物価上昇→金融正常化

 

日本ではなぜこのメカニズムが働かないのか、専門家の分析を知りたい。それによって効果の少ない経済対策への見直しの契機となろう。

例えば今話題となっている元売りへのガソリン高対策の補助金問題。

ガソリン高で最も苦労しているのは消費者である。仮にガソリン高対応政策が必要としても、なぜ消費者に直接届く方法をとらないのか。需給ひっ迫時には、元売りはほっておいても超過利潤を得る。これでは泥棒に追い銭である。

バイデン大統領は、連邦取引委員会(FTC)に石油・ガス会社が違法な価格のつり上げを行うことを取り締まりをするよう指示した(11/18日経夕刊)。

また、オイルショックの時には有名な千載一遇のチャンスと発破をかけた元売りがいた。

1973年10月、第4次中東戦争が勃発。翌年74年から、石油価格の高騰に伴なって世界経済が混乱した、いわゆる「第1次オイルショック」が起きました。翌月、衆議院予算委員会で、ゼネラル石油の社内文書に、「千年に一度、偶然訪れるくらい滅多に無い恵まれた状態・機会」を意味する「千載一遇」という言葉を使い、「石油危機は千載一遇のチャンス」と記載されていた事が発覚。社長は辞任しましたが、この「千載一遇のチャンス」が1974年の流行語となりました。また、石油元売り各社が話し合いで石油の価格を一斉に値上げした事が、公正取引委員会によって刑事告訴されました。これが「石油闇カルテル事件」です。

 

岸田首相の新しい資本主義は消費者目線で経済問題に取り組むと思っていたが、これでは安倍・菅時代の供給者優先のスタンスと変わりない。補助金が増配や自社株買いの原資に流用されたら、納税者は何を思うだろうか。

日本でもコンテナ船が港で何日も待たされる日は来るのだろうか。