コロナ・ウイルス(CV)後のM&Aに対する経営判断

4/2日経には、計画したM&Aに対する姿勢の違いを示す記事が2本掲載された。

(1)ゼロックス、HP 買収断念

(2)昭和電工、1兆円買収に暗雲  日立化成TOB1か月遅れで開始

 

(1)は、ゼロックスがHPに仕掛けた敵対的TOB撤回する記事である。一株24ドルで仕掛けたが、足元の株価は17ドル台に下落し、当初通りに実施すると1兆円近い暖簾が発生するためである。ゼロックスは31日に「マクロ経済と市場の混乱で買収計画を継続できない環境になった」と表明した。

 

(2)昭電は、昨年12月に発表した日立化に対するTOB(買収総額9,600億円)を3/24に開始した。各国の独禁当局の承認が遅れたため、予定から1か月ほど遅れている。市場では、TOBが撤回されるとの思惑が広まった。時価総額は、TOB発表時は日立化が昭電を2倍上回っていたが、現在では3倍に広がっている。

TOB価格は4,630円。4/3終値 4,600円、昭和電工株価 12/18(発表時)3,020円、4/3 2,213円、27.2%下落。

TOB価格を27.2%安の3,370円に下げて、出直すのが妥当ではないか。

 

(1)と(2)を比較すると、(1)が柔軟で、(2)はスケジュールありきのように見える。

(2)は相手方との約束があるのかもしれないが、株主利益は考慮されているようには見えない。取締役会は株主利益をどのように判断したのだろうか。将来の大きな火種になりかねない。