前田道路の捨て身の焦土作戦は成功するか

前田道路は前田建設からのTOB提案に対し、特別配当を実施し、買収を阻止する。自社の資産内容を悪化させて買収を断念させる「焦土作戦」と言われる策である。

前田建設TOB提案(一株当たり3,950円)に「前田道路が単独純資産の10%に相当する額を上回る額の配当を実施する場合、TOBの撤回等を行うことがある」からだ。

 

だが、特別配当を実施しても、それは時間稼ぎで、その間にホワイト・ナイトを見つけなければ、TOB価格を引き下げ再提案されるだろう。しかも、純資産は大幅に減るので、買収コストは大幅に下がる。前田建設は前田道路を24%弱を保有しているので、総額535億円の特別配当のうち128億円が前田建設に流れて、前田建設の軍資金を増やす。

2/21日経では、ホワイト・ナイト選びは難航しているようだ。価格が高すぎるからだ。

 

前田道路の反応は、経営陣のメンツを保つことや地位保全のように見える。株主の利益がどうなるかは、全く考慮されていないように映る。

 

増配が発表された2/20の終値は、前日比310円安の3,400円だった。3,400円で空売りすれば、普通配当100円、特別配当650円の合計4,150円が手に入ることになる。

 

(引用)

前田道路は2月20日、1株当たり650円、総額535億円の特別配当を20年3月期に実施することを臨時株主総会に付議すると発表した。これまで計画していた配当を含めると今期の配当総額は約615億円にもなる。19年末の現金及び現金同等物は連結ベースで850億円超という前田道路。手元にあるお金の7割超を一気に吐き出すことになる。

特別配当のため、従来から計画している2020年3月期の配当100円(配当総額約85億円)とは別になる。基準日をTOB期限の2日後の3月6日に設定した。

 

前田道路のTOB阻止策は焦土作戦と呼ばれるものだ。自社の企業(資産)価値を低下させることで、買収意欲を削ぐ戦術だ。2月20日東京市場で、前田道路の株価は一時前日比10.6%(395円)安の3315円と、11年3月以来約9年ぶりの大きい下落率となった。終値3400円(310円安)。