初動の誤りが被害を拡大する例 : クルーズ船乗客への対応がコロナ・ウイルスまん延の始まり

安倍首相は全国一斉休校を要請し、現場は振り回されてドタバタしている。

安倍首相の支持率津アップのためのであるとして、評価する声は少ない。

このような思い付きのような対策を喧伝するのは、スタートのクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号対応の誤りを糊塗するためであろう。

 

クルーズ船は2月3日に横浜港に到着し、乗客約3,600名は同27日までに下船した。

日本人乗客は、公共交通機関を利用して帰宅した(注)。

アメリカやオーストラリアなどのチャーター便で本国へ帰国した陰性であった乗客から発症者が何人も出てきた。

外国人乗客は、本国へ帰国後も2週間隔離されている。

(注)乗客乗員3,711名のウイルス検査を行った結果、712名の感染が確認された。

 

乗客は横浜港到着後、直ちに収容して隔離すべきであった。遅くとも下船後、2週間は隔離すべきであった。

安倍内閣は、希望的観測からか、公共交通機関を利用して帰宅することを認めた。これが、全国でまん延するコロナ・ウイルスの根源である。

罪のない子供たちをあたかも感染源であるかのように、思い付きの一斉休校に追いやって、コロナ抑制とはお門違いのバラマキ政策やマスクの増産を言い募る。

 

安倍首相がここ1,2週間が山場というのは、2週間もすればウイルスが死滅すると思っているからだろう。だが、クルーズ船の甘い対応を見ていると、希望的観測のようにしか見えない。

 

コロナ・ウイルスが拡散した今となって出来ることは何か。どんな災害でも、最初に必要とされるのは現場の情報である。どれだけの国民が感染しているのかである。

3/5日経は伝える。韓国では一日当たりの検査可能数が15,000件である。自治体によっては、ドライブ・スルー方式の検査所で5分で検査が終了する。4日時点で、13万件の検査を実施した。

これに対し日本では、検査能力は一日当たり4,000件で、実際の稼働は1,000件である。韓国に出来て日本に出来ないなんて、日ごろ韓国は国際法を守らないと非難する安倍首相は恥ずべきだろう。せめて韓国並みに能力を引き上げなければならない。

どんな優れた危機管理の名人であっても、全体像が分からなければ手の打ちようがない。

安倍首相には、残念ながら検査能力を拡大するという動きや思いは見られない。

 

(追記)

1. 死亡者数から感染者数を推定する

下記クルーズ船の死亡率を国内感染者の死亡者に適用すると、

6/0.84%=712人 が国内感染者数と推定される。死亡率には、外人観光客が含まれないので、もう少し上がるだろう。

AFP 新型コロナウイルス、現在の感染者・死者数(3月5日午前2時時点)

日本では287人が感染、6人が死亡した(死亡率2.09%)ほか、横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス(Diamond Princess)」で700人余り(712名)が感染、6人が死亡(死亡率0.84%)した。

 

2. 最近の日経の感染者数の記事には、新規の感染者数のみが報じられ、累計の感染者数が記載されていない。時に感染者数が載せられる場合には、都道府県別の数字で全体の数が示されない。なるべく分かりにくくするという姿勢なのだろう。

 

3. 3/6日経「中韓から入国、2週間待機」「ビザも効力停止」。ようやくまともな方向に動き出した。習近平主席の訪日延期と連動しているのだろう。