低金利の影響 家計と金融機関を犠牲にするアベノミクス
5/10日経は、マイナス金利導入からの各経済主体への影響を試算したみずほ総合研究所の数値を報じている。
期間はマイナス金利が導入された16/2から18/9の2年7ヶ月。
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単位:億円 |
損失 |
利益 |
差引 |
1 |
家計 |
615 |
460 |
-155 |
2 |
金融機関 |
11,503 |
3,864 |
-7,639 |
3 |
企業 |
105 |
4,560 |
4,455 |
4 |
政府 |
631 |
6,836 |
6,205 |
家計は利子収入と住宅ローン金利の減少により、ネットでは損失となっている。大きな損失を計上するのが金融機関で、最近良く目にする地銀の経営危機が如実なものと思わせる。
家計と金融を踏み台にして利益を得ているのが企業と政府である。
これが金融政策から見たアベノミクスの正体である。産業界の新陳代謝が進まないと嘆く前に、どれだけのゾンビが救われているのかよく分かる数値である。
政府はこのメリットをどのように活用したのか見えてこない。どうなっているんだ。
それだけではない。ゼロ金利が導入されたのは1999年。それ以来20年間、家計には利子収入は無い。18/3の現預金は961兆円だった。1%の利子がついていれば、9.6兆円の利子収入があった。20年分なら、190兆円である。消費がぱっとしないのもしょうがないか。
(参考)
日本銀行が(18年)6月27日に発表した2018年1~3月の資金循環統計(速報)によれば、家計の18/3末の金融資産残高は1,829兆円、うち現預金は961兆円。