在庫の廃棄ロスは悪いのか

食品やアパレルの在庫破棄の多さに批判が集まっている。廃棄ロスは資源の無駄遣いなのか。家計簿的見方からは無駄である。
企業から見ると、在庫廃棄が利益極大化になっている。
それは、売り逃しによる機会損失が在庫廃棄のロスより大きいからだ。
このことは、簡単な例で説明できる。
5単位の生産を行い、そのときの最も可能性の高い販売が3単位とする。5単位が売れる可能性も、全く売れない可能性も同程度あるとすると、十分な粗利があれば、多めに生産することは理にかなっている。

問題は事前には需要を正確に予測することは不可能であることである。出来もしないことを無理にやろうとするのは精神主義である。

廃棄ロスを減らす事が目標になると、毛沢東時代の人民服を国民に着せたり、外食には終戦後の外食券で均一メニューを提供する時代に逆戻りすることだろう。消費者は廃棄ロスを受け入れるだけの価格を進んで支払って、選択の自由を得ている。

9/26日経社説「服を捨てないアパレル業に」
日本だけでも廃棄量は推定100万トンに近い。
バブル期に15兆円あったアパレル市場は2016年に10兆円まで縮小した。
供給量は40億点とバブル期から倍増している。
まずはITの活用で需要予測と生産管理の精度を高め、商品企画から店頭に並べるまでの時間を短縮すべきだ。