配偶者控除廃止は見送り

結局は見送られることになった。押し通す大義名分がなかったことと、やはり年明けに選挙をやるんだろう、有権者の反発を避けるためだ。

これとは別に106万円の壁が現実となってきた。10/3日経夕刊の試算では、年収106万円の手取りが9月までが104.8万円が10月から89.2万円で15.6万円の減収。社会保険料が16.3万円加わり、税金が0.7万円減るからだ。
これを取り戻すには年収150万円にする必要がある。時給を1,000円とすると、440時間余計に働く必要がある。月当たりでは36時間である。年収106万円の場合の年間労働時間は1,060時間、月当たりでは88時間、20日勤務で一日4.4時間。年収150万円にするには一日当たり1.8時間上乗せして6.2時間になる。
社会保険料は後に年金や医療保険の形で戻ってくるにしてもずっと先の話で、当面のマイナスを補うことは出来ない。

10/5日経によれば、夫の年収を600万円とすると、配偶者控除に見合う税額は7万円。1,400万世帯が利用している。税収は、単純に掛け合わせると9,800億円。

配偶者控除廃止の動きは、女性の社会進出促進のためとされてきた。「働き方改革」や「女性活躍推進法」にも関連するように言われていた。きれいごととは別に、実際には目的とするところが異なる。
屁理屈を持ち出す前に106万円の壁などパートの人たちが減収にならない目先の方法を考えるのが第一だ。

10/7日経経済教室「同一労働同一賃金の論点」「オランダ、労使合意で推進」アジア大学教授・権丈英子
オランダは世界初の「パートタイム社会」といわれている。「労働時間選択の自由」や「就業場所選択の自由」が認められているという。

雇用契約が本当に両者にフェアなのかを見直すのでなければ、いつまでも使用者に有利な雇用慣行は続く。

厚労省HPより 女性活躍推進法の内容
 女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。 
 また、行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。

事業主行動計画の策定等
国は、事業主行動計画の策定に関する指針を策定。
国や地方公共団体、民間事業主は以下の事項を実施。
(労働者が300人以下の民間事業主については努力義務)
女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情についての分析
【参考】状況把握する事項: ①女性採用比率 ②勤続年数男女差
③労働時間の状況 ④女性管理職比率 等
上記の状況把握・分析を踏まえ、定量的目標や取組内容などを内容とする
「事業主行動計画」の策定・公表等(取組実施・目標達成は努力義務)
女性の活躍に関する情報の公表
(省令で定める事項のうち、事業主が選択して公表)
国は、優れた取組を行う一般事業主の認定を行うこととする。